「絶対に家飲みすべき安旨ワイン」とは?日本に自然派ワインを広めた伝道師、勝山晋作。惜しまれながら昨年亡くなったワイン界の巨匠が残した店が、六本木のワインバー「祥瑞」(しょんずい)だ。
ナチュラルワインと極上肉が楽しめるこの名店は、ナチュールファンの聖地的な存在。コアな人気は高く、予約も容易くない。
今回話を聞いたのは、勝山の意思を継いでワインを提供しているソムリエの柴山健矢さん。彼がオススメする安旨ナチュラルワインとは?
話を聞いたのは……
①コニャック生まれの1リットル瓶
フランスのコニャック地方で造られた白ワイン。ブドウはユニブラン、コロンバール、モンティと、何やら聞き慣れない品種……と思ったらなんと、主にコニャックで使われるブドウだと言うではないか。
「コニャックという土地柄、ワインよりブランデーを造っているドメーヌ(生産者)です。実際に、ワインはこれしか造っていません」。
ブランデー造りのスペシャリストが造る白ワイン。なかなか気になる話である。
「以前から祥瑞では、このドメーヌの自然派ブドウジュースを提供していますが、これも甘すぎず、食中でも飲めるような美味しさなんですね。そこがここ数年でワイン造りも始めたのですが、このワインは年々ちゃんと熟成されていってる印象です」。
その熟成された味わいとは?
「キリッとスッキリした味わいで、飲み疲れしません。しかもワインでは珍しい1リットルボトルなので、1日で飲みきれない場合は数日かけて少しずつ飲んでみてください。酸化防止剤が入っていない分、空気に触れて味わいが変化していきますので、毎日新たな発見があるはずです」。
柴山さんによると、「ワインは空気に触れると香りが華やかになるので、あえて空気に触れさせるのもアリ。デキャンタがない場合、瓶ごと振ってみてもOK」だとか。ちなみに、相性のよい料理は、「淡白なサラダや、あっさりした魚介」だとか。
量もあって、コスパよし。まさにデイリーワインにもってこいな一本だ。
②肉じゃがにハマるカジュアル感
なんと2本目も1リットルボトルが登場。こちらはロワール地方のキャッチーな自然派赤ワインである。品種はガメイ。ボジョレー・ヌーボーなどでよく知られるブドウだ。
「造り手のエルヴェ・ヴィルマードは、フランス ロワール地方の有名な自然派ワイン生産者です。カジュアルに楽しめるワインが多いですが、特にこれはコスパ抜群。ボトルも牛乳のリサイクル瓶を使用していてエコだし、だからボトルの色味も1本1本違う。首元の星マークもお洒落で、飲み終わったあともチェイサー入れなどに活用しています」。
造り方だけでなく、ボトリングまでサステイナブルだとは素敵じゃないか。その味は、「料理しながら飲めるようなライトな赤ワインで、普段の生活に寄り添うイメージですね。果実味があってジューシー、とても優しい味わいです」。
柴山さんが合わせている料理は、「凝ったフランス料理……ではなく、普段の食卓に並ぶような家庭料理がオススメ。和食だったら肉じゃがなんかに合いますよ」とのこと。まさに毎日飲むテーブルワインにピッタリだ。
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