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繰り返しの練習で養われる“動きの巧みさ”

この連載でも繰り返し述べていますが、子供の体は大人とは違います。どう違うの? 結論から言うと、子供のほうがさまざまな「スキル」の吸収力が圧倒的に優れているということです。
子供は年齢とともに身長が伸び、会話も大人びてきます。たいていのことは自然と成長していくものです。しかし、そうでないものもあります。例えば、文字を書く能力。これは残念ながら努力しないと獲得できません。
上手な文字を書くためにはどうすればいいか? 答えはひとつです。お手本を見ながらひたすら練習するしかない。その積み重ねの結果、キレイな字が書けるようになります。
図をご覧ください。子供の体の発育・発達は要素によって異なります。要素とは「スキル」「筋力」「持久力」の3要素に分類できますが、それぞれに伸びる時期が違います。
スキルは小学校時代、持久力は中学校時代、筋力は高校時代以降と、それぞれの要素が一番伸びる時期というものがわかってきています。
子供のスポーツ新常識
身長の発育パターン(黄色)と比較するとわかりやすいかもしれません。小学校時代に成長が早く、体格が大人と同等になったからといって、大人と同じように重たいものを持ち上げる激しい筋力トレーニングを頻繁に行うことは、ベストな運動(トレーニング)とは言えません。「育ち盛りの時期だから筋力トレーニングも詰め込めばいい」というわけではないのです。
よく、9~12歳くらいまでの時期を「ゴールデンエイジ」などと呼ぶことがあります。これは神経系の発達がほぼ完成に近づく年齢であり、この時期にいろいろな動きを経験しながら、「走る」「跳ぶ」「投げる」といった基本動作を習得・発達させるのが最適、という意味から名づけられたものです。
言い換えれば、私たち人間のスキル(動きの巧みさ)は、小学生までに著しく発達してほぼ完成を迎え、その後、中学生くらいからはあまり大きな発展がなくなってしまうということです。
話を戻すと、文字を書くことも「スキル」に入りますので、幼少期から小学校期に大きく伸びる能力であり、大人になってから字を書く練習をしても、子供時代と比べて変化・上達があまり見られないのはこのためです。


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