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カナダ移住計画を機に、キャンプ製品の開発職へ

しかし、’90年代に入ると、ロシア経済の下降に伴い、シベリアの治安は急速に悪化。彼らが住む街でも、起業家や役人が路上で暗殺される事件が多発していたそうだ。
そこで夫妻は、2000年にロシアからカナダへの移住を決意する。だが、カナダ大使館で移住のための面談を受けるには長期間待たねばならなかった。
その面談を待つ間にも、何かパートタイムの仕事をせねばならない。そこで、持ち前の金属加工技術と縫製技術の専門知識を買われてアレクセイが誘われたのが、モバイルキャンプ製品の開発職だった。
モビバ
友人と共に、手探りの状態でプロトタイプの設計に励むアレクセイ[右]。
彼に与えられた仕事は、キャンプ用入浴システムの開発である。当時のキャンパーや旅行者は、木材やプラスチックフィルムを利用して簡易的な自家製のお風呂を作ることはあった。しかし、クライアントが求めていたのは数十分で組み立てられるような携帯用のサウナだった。
当時、世界中のどこにもこのような製品は存在していない。どのような形にすればいいのか。はたまた作ること自体が可能なのか。誰にも想像できない状態から開発はスタートした。
翌年、アレクセイが仲間と試行錯誤の末に完成させたのが、下の写真にあるモバイルハウス型サウナのプロトタイプである。
モビバ
これぞテントサウナの原型。開発当時から、現在の製品にかなり近いフォルムであることがわかる。


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