偶然のハリケーンがブランドの評価を高めた
「モバイルテントサウナは、単なるストーブのあるテントではなく、国や文化を超えた国際的な商品になるに違いない」。
このプロダクトに可能性とニーズを見出した夫妻は、カナダへの移住を断り、2003年にブランド名を「モビバ」と定め、工業製品の展示会へと出展を始めた。
同年、モビバのモバイルバスプロジェクトは、シベリアでもっとも権威のある展覧会で金賞を受賞する偉業を達成することとなる。
実は展示会は会期中に強力なハリケーンに見舞われた。ほかのすべての企業のテントが倒れたり、変形し、鉄骨のパビリオンさえ壊れる中で、モビバのテントだけが無事にハリケーンを乗り越えたことが評価されての受賞である。
アレクセイは、航空機の胴体と同じ方法でテントを設計しており、その強度はほかのテントの比ではないことが偶然にも証明されたのだった。
翌年には、首都モスクワの展示会にて軍や政府の災害支援のための巨大な遠征用テントを発表。モバイルバスのアイデアなど数々の特許も取得した。
そして、2005年に満を辞して夫妻はモビバを設立する。以降、ヨーロッパ各地を中心に、急速にその名を知られるようになっていく。
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