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夏の“やりたい100”
それほどエンジンを回さなくても力がモリモリ湧き出て、ガソリンエンジンに比べて燃費効率に優れるディーゼルエンジンは、まさにボルボXC90のような大型SUVに打ってつけのパワートレインだ。大人数を乗せ、趣味のギアを満載して山道を登っても走りに余裕があるし、長距離ドライブもお手のもの。
ここで、読者のなかには「ヨーロッパではディーゼル車が走行禁止」というニュースをご覧になった方もいるかもしれない。ただし、ドイツやフランスの一部の都市が打ち出している「ディーゼル車の乗り入れ禁止」は、最新の排ガス規制をクリアしていないエンジンに対するもの。従ってここに紹介するボルボXC90のクリーンなディーゼルエンジンは該当しない。
もちろん将来的には電動化の方向に進むのは間違いないけれど、減っていくのはディーゼルだけでなくガソリンも一緒。発電などエネルギー問題全体のソリューションが見つかるまでは、ハイブリッドやEVも含めてパワートレインは適材適所がベスト、というのが専門家の見方だ。
ボルボXC90は新世代ボルボの第1弾として2016年に登場して以来、最高水準の安全装備と高いデザイン性、心地いい上質な空間を提供し、新たなるプレミアムSUVの地位を確立した。そして、昨年初となるマイナーチェンジが行われ、ディーゼルモデルのD5もラインナップされた。
走り始めた瞬間に、プレミアムSUVにはやはりディーゼルが最適解ではないか、と感じる。なぜか? 2Lの直列4気筒ディーゼルターボの性格が車の優しいキャラにピッタリなのだ。よく目にする車の試乗記では、車を押し出す力(=トルク)を「厚い」と表現することが多い。この車の場合も厚いは厚いのだけれど、もっと柔らかく車を押し出す感じがする。
優しいキャラと書いたけれど、その理由は、極上の乗り心地。ボルボXC90にはエアサスがオプションで用意されているが、絶対に付けたほうがいい。頼りがいのあるエンジンとふんわりとした乗り心地の組み合わせは、まさに大船に乗った気分。波の静かな瀬戸内海を進むクルーザーのようだ。しかも4駆システムも備えるから、例えば豪雪や豪雨に見舞われても心強い。
加えて洗練された北欧デザインは見事に自然と調和する。世界を見渡しても実に稀少なプレミアムSUVなのだ。
安井宏充=写真 サトータケシ=文
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