【1990年代】
①『とんねるずのみなさんのおかげです』
『オレたちひょうきん族』が放送終了した理由については、いろいろな噂が囁かれた。そのひとつが『とんねるずのみなさんのおかげです』に若い視聴者が移ってしまったというものだ。番組開始は’88年だが、主に人気を得たのが’90年代だったので、ここでは1990年代に分類する。
それほど当時は絶大な人気を誇り、何と1989年から1994年の6年間にわたってバラエティ番組の年間平均視聴率1位に君臨。毎回のように当時のトップアイドルやミュージシャンなどをゲストに交えたコントを放送し、仮面ノリダーや田村マサカズ、サブ北島などの名物キャラクターの人気も凄まじかった。
’97年からは番組名が『とんねるずのみなさんのおかげでした』に変更。最終的に2018年まで約30年近くも続く長寿番組としてファンに愛された。
②『ダウンタウンのごっつええ感じ』
90年代はとんねるずとダウンタウンの時代だったと言っても過言ではないかもしれない。それほどこの2組の人気は突出していた。当時のダウンタウンの看板番組が現在も続く『ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!』、そして未だに高い人気を誇る『ダウンタウンのごっつええ感じ』である。
数々のコントや対決企画、「ボケましょう」などの体当たり系大喜利企画など、91年の放送開始から97年の終了まで、常に新しく、常に激しい笑いを提供して新時代を築いた。特に「ゴレンジャイ」「キャシー塚本」「トカゲのおっさん」などの人気は凄まじく、大胆でありながら笑いの質は極めてシュールで斬新なものだった。
今田耕司、東野幸治、YOUや篠原涼子など、まだ無名だったレギュラーメンバーの多くがこの番組をきっかけに人気を獲得し、現在も第一線で活躍しているのは誰もが知るところだ。
③『電波少年』シリーズ
斬新、奇抜、破天荒――『電波少年』が残した功績は計り知れない。若手芸人を強引に海外へ送り出してヒッチハイク旅をさせたり、政治家や暴力団、マフィアのボス相手にアポなしロケを決行したりと、激しくて新しい体当たり企画を数多く生み出したこの番組である。
松村邦洋が渋谷や池袋のチーマーを更生させようと試みるも逆にボコボコにされてしまうなど、「体当たり」の極地を極めた企画が盛りだくさん。当時、日本社会党の委員長だった村山富市の眉毛を切ろうと、松村がハサミを持って党本部に乗り込んだことも。そのリアルかつ博打的なチャレンジが多くの視聴者を虜にした。
とりわけ伝説となっているのが、お笑いコンビ「猿岩石」によるユーラシア大陸横断ヒッチハイクの旅。酒に飲まれる破天荒な有吉弘行と、真面目だが天然な森脇和成が数々のハプニングを乗り越えながら前に進んでいく。その様子にはハラハラドキドキさせられるが、本当に苦労が伝わってくるからこそ最後のゴールは異様なまでに感動的であった。
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次回は2000年以降のお笑い作品をピックアップ。抱腹絶倒を覚悟せよ!
原嶋鉄人=文