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野村監督の名言②
「努力に即効性はなし。でも努力は裏切らない」。

京都の片田舎の高校を卒業した野村克也。期待に胸を膨らませ足を踏み入れたプロ野球の世界だったが、当初はほとんどテスト生扱いである。そこから這い上がっていく中で、野村監督は日々努力を惜しまなかった。
南海に入団後、野村監督は来る日も来る日も寮の庭でバットを振り続けた。シーズン前のキャンプ時には、それこそ庭を埋めつくさんとする先輩、後輩が野村監督の隣でバットを振っていた。しかし、いざシーズンが始まると庭で素振りをする人間は数えるほど。それはなぜか。
「努力をすればすぐに結果が付いてくるという錯覚があるため、結果が出ないと、みんな諦めてしまうと野村監督は言う。
さらに、「個人差はあるが、必ず数年後には結果が出てくる。努力しているからといって、すぐに結果を求めてはいけない。結果はじわじわ出てくるものだ」。
野村監督は楽天時代、若い選手に「上原を見習え」と繰り返し話していたそうだ。元巨人軍のエースにしてバリバリのメージャーリーグ経験者。世界一も経験し、日米通算100勝、100セーブ、100ホールドを達成した唯一の投手である。
そんな彼も、高校時代は控え投手で大学の途中まではまったくの無名だった。「雑草魂」を座右の銘に努力に努力を重ね、ようやくプロで開花を迎えた。そんな彼の、ひたむきかつ貪欲な姿勢に、野村監督は自身を重ねたのかもしれない。
たとえ失敗したとしても、努力し続けることで未来は拓ける。野村監督の生き様がまさにそうだった。
ちなみに余談だが、野村監督と上原浩治氏はともに、長く愛用した背番号は「19」だった。


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