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そのようなスーツのシステム(洋装)を、日本が取り入れたのは明治初期の1872年。洋装採用は、閣議で決定された。保守派からは反対意見も出たが、日本は世界制覇を目指す、だからこそ世界で標準服として着られているスーツを着用すべきである、という外務卿(外務大臣)副島種臣の意見が最終的に通った。
つまり、日本人は、当時のグローバリズムに後押しされる形で、世界標準服となっていたスーツを「政府の指令によって」着用することになったのだ。ちなみに、洋装の規定が定められたのは男性に対してのみであって、一般女性の洋装に関しては、何のお達しもなかった。宮中の女性の礼服のみが洋装のシステムの適用対象となった。
そのように、社会が向かおうとする方向と装いは、不可分の関係にある。資本主義やグローバリズムが深刻な格差問題などの弊害をもたらして行き詰まっている現在、それらと手を携えてきたスーツのシステムが立ちいかなくなるのは自然の流れなのだ。
同時に、現在ではジェンダーによる差別の完全撤廃が求められ、多様性と包摂の重要性が声高に謳われている。働き方改革、ジェンダー平等、多様性社会の理想の実現は、スーツ一辺倒ではない、時代に相応しいワークスタイルを後押しすべきなのだ。
[左]「YouTube」 設立者チャド・ハリー [右]「フェイスブック」CEOショーン・パーカー
[左]「YouTube」 設立者チャド・ハリー ©︎REUTERS/AFLO [右]「フェイスブック」CEOショーン・パーカー ©︎REX/AFLO 今の時代を象徴したかのようなふたりのスタイルは、やはり“ノータイ”に“スニーカー”。品はありつつもいたってクールな着こなしだ。


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