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既に昨年あたりから銀行や大手企業でも続々と服装規定が廃止され、「清潔感と好感」さえキープするならTシャツ、ジーンズ、スニーカーも可となり、仕事服カジュアル化の流れはもはや止めることはできない。
仕事服の自由化により、寛いで親しみのある雰囲気が広がるという効果が生まれた一方、何が「清潔感と好感」を与えるのか、各自の想像力と自分を客観視する力が今まで以上に求められるようになった。また、普段着の延長になりがちなカジュアルでもきちんと仕事用に見せるため、姿勢や体形維持、衣服の管理に表れる自己規律の能力強化もいっそう痛感されているはずだ。
ルールがないゆえにいっそう主体的に考え、自覚を持ってそれぞれの仕事服と向き合うべきとき、それが今なのだ。故スティーブ・ジョブズのように、徹底的に選び抜いたスタイルを貫くことでブランディングを行うのもひとつの方法だが、いずれにせよ、時代の転換期である今こそ、向かう理想と補完し合うワークスタイルを考案する絶好の機会。
そもそも、他人の感情への想像力、自己を客観視する力を研ぎ澄まし、自己規律を強化していく習慣そのものが、ほかならぬ働き方改革そのものを良い方向へと推進し、多様性社会を実現するために多大な貢献をすることだろう。
 
(文=中野香織/服飾史家、近著に『「イノベーター」で読むアパレル全史』(日本実業出版社)がある)


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