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100年以上前に生まれた世界初の圧力式灯油ランタン

Camp Gear Note
ピッカピカに光り輝く真鍮製は、経年変化も楽しめる。外見だけでなく、パーツや構造も100年前とほとんど変わっていない。
ペトロマックスが誕生したのは1910年。ドイツ人のマックス・グレーツが、圧力式の灯油ランタンを発明したことに端を発している。ブランド名は、「ペトロノーム(灯油)」×創業者「マックス」から名付けられた。
開発当初はまだ電気が普及しておらず、ランタンは家庭の照明として広く用いられていた。ちなみに灯油ランタンとして、圧力式の構造を採用した世界初のブランドである。
石油を燃料にするランタンは大きく分けて、ガソリンランタンと灯油ランタンに二分される。煤が出にくく、気化温度が低いため比較的扱いやすいガソリンランタンに対して、灯油ランタンは着火までにプレヒート(着火前に温める作業)を行うなど少々手間がかかる。
しかし、ガソリンよりも圧倒的に燃料代は安く、明るさは遜色ない。当時の庶民にとって、この発明がどれだけ大きなものだったかは想像に難くない。
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グレーツ兄弟が経営していた会社の工場。彼らのランタンはドイツ軍をはじめ、世界中で使われていた。
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ギア好きの琴線に触れまくる完成された美しいフォルム

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広報を務める仲平さん。彼女が着ているのが今年から始まるウェアラインだ。
ドイツ製品らしい精巧なその造りは、同時期にアメリカやイギリスで作られていたシンプルな構造のランタンとは一線を画す。200以上のパーツから構成される構造は基本的に発売開始当初から変わっておらず、古いものも新品も同じパーツで修理ができるそう。それほど完成された形だったのだ。
「他社のランタンと比べて、当時のペトロマックス製ランタンの何が特徴だったのかは、正直私たちにもわかりません。現在は、数少ない現行品の灯油ランタンであることと、昔から変わらない美しいデザインが売りではあるのですが……」とは、日本での輸入総代理店・スター商事の広報を務める仲平さんの弁。
あくまで想像の域を出ないが、当時はタンクの容量や耐久性など、実用面の利点があったからこそ世界中に普及したのでは、というのが彼らの見立てだ。
Camp Gear Note
輸入開始当初、「HK500」は「ラピッドランタン」の名称で販売されていた。
スター商事がこのランタンを日本に持ち込んだのは、1999年のこと。
「それまで、うちはスウェーデンのブランド『オプティマス』のランタンを扱っていました。その生産が終了するタイミングで、代わりに海外の展示会で見つけてきたのがペトロマックスでした」。
当時はランタンのみを扱うブランドだったそう。しかし、のちに本国の社長を務めることになるジョナス・タウレックの登場が契機となり、ペトロマックスはブランドとして大きく舵を切ることとなる。
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