リラックスしているのに大人っぽい‟種カジ”とは? ーー男にとって「手持ち」の服への愛着はひとしお。体型変化やトレンドの変遷、破れ、壊れなどの諸事情があっても、「いつかまた」とタンスの肥やしにしがちである。
が、種さんによれば、着なくなった服の「また着たい」欲を復活させる技があるという。
「今日の格好を見て、種市、また同じ格好して!なんて言わないでくださいね(笑)」。
ーー種さんが自虐するのも無理はない。毎年のように春先は、デニムトップス×黒アイテムの組み合わせなのだから! むしろ、よく本連載のネタが続くなと思うくらい。
「オールド パークのデニムトップスは、連載で2回目の登場なのですが、ワッペンカスタマイズで蘇らせました。LAを拠点とするブランド、ア ラブ ムーブメントのワッペンで、どれもポップでラブリー。好きな部分に貼りまくったことで愛着が復活。着なくなった服がまた着たくなる、種カジ流アップサイクルです」。
ーーこれなら鮮度が増すだけでなく、破れた箇所などを隠すことができるのもいい。
「このワッペンは、レッチリのアンソニーや現代美術家のダミアン・ハーストも愛用。カルチャーの背景があるのも僕好み」。
ーー一方、黒いデニムをさらに進化させており、そのあたりも抜かりない。
「デンハムのデニムは裾をカットオフ。表情が変わって、ラブ再燃です」。
ーーサステイナブルが喧伝されるなか、「手持ち」の見直しも有効だと教えてくれる種さん。種さんへの敬意も再燃!?
今月の種カジ・ポイント
LAで新調したノーブランドのニットキャップも、ワッペンカスタマイズで洒落感アップ。折り返しの内側に半分隠すのがポイントだ。
「シームをほぐして余分な布を切り取る程度」というデニムの裾に、昨年新調したノンネイティブ×グイディのブーツで新鮮さをプラス。この足元は、
ユニクロのニット愛を見せたムービー「種カジのおまけダネ」のときと同様だ。
市川孝典さんの作品。「線香の熱で紙を焦がす“線香画”。ミニマルな世界は、何度見ても新たな発見があってデニムのよう」と心酔。
‟種カジ”とは?「お洒落であるより、格好良くありたい」と言う種市 暁さんのスタイルに本誌が注目し、“種カジ”と勝手に命名して早数年。いつもパッと見の印象は無造作なのに、なぜか格好いいから不思議。そんな彼の装いの“タネ”をムリヤリ解説してもらう企画。
上に戻る PROFILE
たねいちあきら●1972年生まれの47歳、東京下町出身。サーフィンを愛する海男。長年勤め上げたビームスを退社し、現在はフリーランスとしてブランドのコンサルティングやプロダクトのディレクションなどを手掛ける。種カジのこぼれネタがポストされるインスタグラム(
@taneichiakira)もチェック!
山本 大=写真 髙村将司=文