中足部から踵にかけてのフィット感に着目
では、ジュニア期にはどのようなポイントを押さえてシューズを選べば良いのでしょうか。前述のように、子供はアーチが未成熟でシルエットも細長なので、運動中にシューズの中で足が動くことが考えられます。
ですから、軽さやつま先のフィット感に重点を置くよりも、中足部から踵がしっかりフィットするものを選びましょう。歩いても走っても踵が浮いたり、シューズが脱げてしまうシューズは、足の成長に伴う動きに悪影響を及ぼすことが考えられます。
一流のアスリートが使用する高価なシューズや一時の流行に惑わされて選択することは避けたほうが賢明でしょう。免許を取りたての初心者ドライバーに高性能なスポーツカーは乗りこなせないことと同じです。車ならまだしも、体を壊してしまう危険さえあります。高性能なものは、それなりの条件をクリアした人向けに作られたものであり、決して万人向けではないことを認識すべきです。
桜井智野風=文
桐蔭横浜大学 教授。同大大学院スポーツ科学研究科長。運動生理学 博士。骨格筋をターゲットとしたスポーツ科学・生理学的な研究を専門とする。公益財団法人 日本陸上競技連盟 指導者育成委員会コミッティーディレクター。スポーツの強化策としては、「ジュニア世代と接する理解ある指導者や親を育てることが一番重要である」という考えのもと、ジュニア対象の指導者育成のために全国を飛び回っている。