いつだって洒脱で、遊びを忘れない英国紳士。だからポール・スミスが作る服には、大人の格好いいがたくさんある。そんな彼が本気で考えた、画期的なスーツについて。
身近で手軽。これも今や、格好いい服の条件だから。
スーツが洗濯機に恋をした
働き方は変わりつつある。そして、働く服も。スタイル的にノータイ、クールビズが当たり前になった今、スーツの立ち位置が揺らいでいる、のかもしれない。だが、ポール・スミスの新作は、鮮やかに“逆境”を乗り越える。
スーパー120を使用した糸で高密度に織り上げたメリノウール100%のメイド・イン・ジャパン。しなやかで柔らかく、蒸し暑い季節にうれしい薄手の仕立てながら、ルックスはきわめて品行方正だ。
そのうえで、現代的なありがたみを搭載する。自宅の洗濯機で気兼ねなく洗えるのだ。
ポール・スミス 公式オンラインショップはこちら このウォッシャブルウールの開発背景には、繊維の結合を切断、再結合することで“縮み”を防ぐなどサイエンティフィックなメソッドが潜む。スーツを構成する縫製テクニック、副資材にもこだわった。ただし、それらをあえては語らないのもニクイ演出だ。
スーツに付随するガーメントケースがランドリーバッグの役割も果たしてくれる。タグに書かれたとおりに畳めば、シワになることもない。簡単な作業で洗濯機に放り込めばいいのだ。それだけで、いつだって清潔で、上品なスーツスタイルを楽しめる。
画期的な発明を、いたってポップに“パッケージ”する。このアプローチにも、実にポール・スミス的な洒落っ気を感じることだろう。
洗濯機に恋をした、洗えるスーツ。我々のスーツへの恋心も、改めて燃え上がらせてくれる。
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