「山の工房村」の飯炊釜遠赤外線効果でお米を満遍なくふっくら炊き上げる。火加減の調整もタイマーも必要なし。釜内部には炭の浄化作用が働き、手入れも簡単。一、二、三、五合の4型あり。
丸くてマットで優しい色合いは僕の好みだし、生活を良くしようと思って作っていることが伝わってくる無駄のないデザインは、キッチンに出しっぱなしでもOK。この釜のポイントは、外蓋を囲む縁が高く、吹きこぼれない設計。そもそも「吹きこぼれ」とは、「ノリ」とも呼ばれる米の旨みなので逃がしてはいけないもの。
この釜は最初から強火で炊き、数分後に「ノリ」が吹き出したら火を止める。すると蓋の周りに溜まった「ノリ」が吹きこぼれずに、釜の中に戻っていく。あとはシューッという湯気を眺めながら、余熱でご飯を蒸らすだけ。ごく簡単なうえ、子供たちに「お米変えたの?」と聞かれたくらい、劇的においしく炊けるんです。最近は牡蠣やサンマの炊き込みご飯なども作ったりして楽しみ方は広がるばかり。
やはり何かを買ったら生活が楽しくならないと意味がない。家に友人を呼んだときなど、最後に炊き込みご飯の蓋を開けた瞬間、歓声が上がってインスタの撮影が始まります。一気に場の空気を持っていく力がありますね。
僕はふだんあまり料理をしないのですが、おいしいご飯を炊いただけで、家族から尊敬のまなざしで見られるのもかなりうれしい。これでお父さんの面目躍如は間違いなし。いいモノって皆を幸せにするんです。
ふじいたかゆき●東京を代表するブランド「ノンネイティブ」のデザイナーで、ファッションからライフスタイルまで一貫したこだわりを持つ。今もっとも夢中になっているのはラグビー。W杯終了後もその熱は続き、ラグビー観戦はすっかりライフワークのひとつに。
竹内一将(STHU)=写真 町田あゆみ=文