海外を知ることで芽生えた日本への愛
つい先日も日本人のあたたかさを感じるできごとがあった。
「帰国して空港から都内へ戻るためにバスを待っていたんです。到着時間までは10分ほど。すごく寒い日だったんですが、そばにいたバスの運転手の方が『2、3分前に来ていただければちょうどいいので暖かい空港の中でお待ちくださいませ』とわざわざ声をかけてくれたんですよ。日本ではよくある光景かもしれないけど、インドだったらありえないですからね(笑)」。
海外を知ることで芽生えた日本への愛。それが今もなお更科さんがバックパックひとつを車に積んで日本全国を旅しながら、各地でヨガを指導し続ける理由でもある。車中泊での気ままな旅は、更科さんの人生のように自由で解放的だった。
「俳優時代はなかなか芽が出ない自分に対して焦りがあったけど、アシュタンガヨガを見つけられたことで人生が変わりました。逆にいえば、ヨガしか僕にできることはなかったんです。きっと人間ってそういうものがひとつでもあれば、どこに行っても生きていけるんじゃないかな」。
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