連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。
アウトドアギアに限った話ではないが、世の中の道具に革新が起きるタイミングには、たいてい大きく2つの背景がある。
まずは、高性能な新素材が開発されること。同時に、道具自体の能力も劇的に高まる革新が起きる。もうひとつは、エジソンが電気を使った数々の機器を生み出したように、今まで誰も見たことのないような発明による革新だ。
今回紹介する「GSI OUTDOORS(ジーエスアイ アウトドアーズ ※以下、GSI)」は、実はどちらの革新も追い求めていない我が道をゆくタイプのブランドである。
モノを作る会社ならば、常に画期的なイノベーションを追い求めるのが普通じゃないの? と思われるかもしれないが、一概にそうともいえないのがモノ作りの面白いところ。事実、彼らが手掛ける道具はどれをとっても実にユニークで、オリジナリティに溢れている。
GSIは、カナダからカリフォルニア・サンディエゴへと移住した兄弟によって1985年にスタートした。創業当初は、イタリアからエスプレッソメーカー、メキシコからエナメル食器の輸入をしていた。エナメルは耐久性があり、錆びにくいため、アウトドアにぴったりの素材で、現在も同社の主力ラインのひとつとなっている。
しかし、アウトドア好きの創業者兄弟の探究心は、エナメル製品の販売だけでは満たされなかった。彼らは持ち前の遊び心と創造性を製品開発へと向け始め、徐々に革新的な製品を生み出していったのだ。
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