ひと口に腕時計といっても十本十色の顔がある。それは歴史や外観、機構など多くの構成要素が複雑に絡み合うことで1本の腕時計が作られるからだ。
クロノグラフはスポーツウォッチの代表格であり、計器を思わせるメカニカルな多針が男心をくすぐる。特にパイロットウォッチはその魅力の象徴だ。ここには登場する時計が繰り広げる群像劇がある。
BREGUET
ブレゲ/タイプXX アエロナバル
ブレゲを語る上で欠かすことができないのは、空との関わりだ。5代目ルイ-シャルル・ブレゲはヘリコプターの原型を開発し、のちにルイ・ブレゲ航空機会社を設立。コックピット計器の開発から、1935年にはブランド初のクロノグラフを発表した。
名作「タイプXX」は、’50年代に仏軍の要請で作られ、’80年代初頭まで仏空軍と海軍航空部隊の装備品に採用される。本作はそのデザインコードを踏襲し、39mm径ケースにフレンチミリタリーの伝統を詰め込む。またパイロットウォッチに必要不可欠な、ワンプッシュで連続計測するフライバック機能も搭載。
大人のアメリカンカジュアルに
気高きパイロットウォッチの気品を
腕時計はただそれだけでも美しい。しかし、それは腕に着けて初めて本来の存在感を主張する。そしてファッションとセッションすることで初めて自分らしく着けこなせるのだ。
リーバイスのデニムジャケットに、ニューバランスのスニーカー。多くの人が親しんだアメリカブランドに、タートルネックのニットとタックの入ったスラックスを合わせた上質なアメカジスタイル。その腕元にはブレゲのパイロットウォッチが存在感を示す。
ミリタリールーツの武骨さと、フランス由来のエレガンス。その絶妙なバランス感をコーディネイトでも体現した。こんなアメリカンカジュアルに、由緒正しき「クロノグラフのパイロットウォッチ」をさらっと身に着けてみたい。
※本文中における素材の略称:SS=ステンレススチール
川田有二=写真 菊池陽之介、石川英治=スタイリング 松本和也(W)=ヘアメイク 柴田 充=文