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2020.02.03

ライフ

アートディレクター・小杉幸一に聞いた、評価されても“変わらないもの”

>連載「37.5歳の人生スナップ」を読む
前編
小杉幸一
PARCOの「パルコアラ」、SUNTORY「特茶」、SUZUKI「ハスラー」、「ダウンタウンのガキの使いやあらへんで!」のロゴデザインなど誰もが目にしたことのある広告のアートディレクターとして活躍する小杉幸一さん。そんな彼にも、大手広告代理店に入社してしばらくはクリエイターとしての「自分らしさ」を見つけられない葛藤があったという。

「表現に個性が求められるなかで、小杉幸一らしいデザインとは何か。それが見つからないと、いいデザイナーとはいえないんじゃないか、なんて落ち込んでいた時期もありました」。
名だたる大先輩たちのデザインと、自分の作品を比べ、決定的に欠けているものは何か。小杉さんは分析を重ね、ひとつの答えに行き着いたという。
「これは勝手な僕の分析なんですけど、偉大な作品を世に出してきた人たちはもちろん作品自体の個性も強いんですが、その前段階の、『その作品をどのように生み出すか』という考え方に個性があるのではないかと思ったんです。アウトプットがオリジナルなのではなく、そこにたどり着くまでのプロセスが個性的なんじゃないか、と」。
それは美大時代、作品づくりにおいてプロセスを重視するように教わったことにも繋がっていた。
「自分らしい表現という、確固たるものを僕は見つけられていない。だったら作品そのものではなく、制作プロセスで自分らしさを出せるんじゃないか。じゃあ小杉幸一らしいプロセス、考え方ってなんだろうとなった時に一番に出てきたのは『楽しむこと』でした」。


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