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2020.02.11

ファッション

老舗バッグブランド「セラピアン」がメイド・イン・ミラノにこだわる理由

「メイド・イン・ミラノ」にこだわるバッグブランド、セラピアン。この老舗のもの作りを見ていると、ある価値観を感じ取ることができる。それはずばり、手仕事に対する純粋な敬意と愛情である。
セラピアンCEO ジャコモ・コルテシ氏
「このバッグを見たとき“本物の宝だ”と思いました」CEO ジャコモ・コルテシ氏 1971年、イタリア・フィレンツェ生まれ。ボローニャ大学工学部を卒業後、’98年にサルバトーレ フェラガモでキャリアをスタート。2007年、モンブランのマネージングディレクターとしてリシュモングループに加わる。’17年にセラピアンのCEOに任命。プロサッカー選手としての経歴を持つ、3人の子供の父親でもある。
Brand Profile
1928年、ステファノ・セラピアンによってミラノで創業したレザーブランド。妻のジーナとともに、オーダーメイドを中心にバッグと革小物を製作した。レザーの編み込みが特徴の「モザイコ」、柔らかなカーフスキンを使った「カシミア」など、ミラノの洗練を具現するバッグをラインナップ。現在ヨーロッパ、アジア、アメリカで商品を展開している。

洗練されたデザインの根底にある真っ当なもの作り

最初に浮かんだのは「真っ当なもの作り」という言葉だった。良い素材を使った、丁寧な作りの、使いやすいバッグ。簡単なようでいて、真っ当な仕事を長く続けていくことはとても難しい。
「ドゥオーモ(※1)から歩いて10分の場所に新しい社屋があります。“ヴィッラ・モーツァルト”と呼ばれ、ショールームやビスポークサロンも併設されています。まさにミラノのど真ん中です」。
CEOを務めるジャコモ・コルテシ氏の口調に熱がこもる。彼は「メイド・イン・イタリーではなく、メイド・イン・ミラノなんです」と続けた。南北に長いイタリアは地方色豊かな国だ。ローマには豊穣な歴史があり、フィレンツェには絢爛たる芸術がある。ミラノという都市にあるのは、突出した洗練である。
水濡れや傷に強い型押しカーフスキン「エボリューション」を用いた、深いネイビーカラーのバックパック。/セラピアン
水濡れや傷に強い型押しカーフスキン「エボリューション」を用いた、深いネイビーカラーのバックパック。構築的かつ柔らかみのあるフォルムが特徴。スリットポケットなどの収納を数多く備えた、使い勝手のいいバックパックだ。H42×W31×D15cm 14万7000円/セラピアン(リシュモンジャパン 03-4461-8340)
セラピアンのバッグは確かにミラノの洗練を体現している。しかしながら冒頭に書いたように、その根本には真摯な、真っ当なもの作りの姿勢があると感じるのだ。それは創業者ステファノ・セラピアンの素性と浅からぬ関係があると思う。
ステファノの故郷は、イタリアから遠く離れたコーカサスの小国アルメニア。紛争を逃れミラノにやってきた彼の目に映ったのは、圧倒的な洗練とエレガンスだったに違いない。この地で認められる革小物を作らねばならない。ヨンメッリ通りにオーダーメイドのアトリエを開いたステファノはそう決意し、真摯な姿勢でもの作りに取り組んできたのだ。
「妻のジーナのアドバイスも、バッグ作りに大きな影響を与えたと思います。それはエレガントなデザインの徹底。女性ならではの視点です。今あるメンズのブリーフケースにも、ジーナの思いは受け継がれています。そのシェイプには柔らかさがあり、すべてのパーツは優雅な曲線を描いています」。


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