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ひと張りひと張りに、職人のプライドが縫い込まれている

ちなみに、ヒルバーグ製品は、スウェーデンからバルト海を挟んだ対岸にあるエストニアの自社工場で作られる。
「エストニアは日本と同様、職人気質で手先の器用な人が多い国だそうです。テントひと張りの縫製は、ひとりの職人が通しで担当します。テントの内側を見てください。担当した職人の名前を入れたタグを縫い付けてあるんです」。
ヒルバーグ
1997年から現在まで、すべての製品はエストニアの工場で仕上げられている。
ツルツルとした特殊な生地を縫うためには、熟練の技術が必要不可欠。気の遠くなるほど丁寧な仕事を経て出来上がったテントに付けられたタグからは、「どうだい、俺が縫ったテントは。調子いいだろ?」と自慢げな職人の声が聞こえてきそう。作った個人の名前が製品に印字されているテントは、たぶんヒルバーグだけ。それだけ製品に携わる個々人がプライドを持って仕事をしている証拠だ。
ヒルバーグ
ひと張りごとに、縫製を担当した職人の名前が縫い付けられている。店頭で見比べてみる?
昨今は重量の軽さやコンパクト性を売りにしたモデルが人気を集めているが、それらに比べて圧倒的に使用用途を選ばない、汎用性の高さも魅力だろう。
長年にわたり、世界中のさまざまなエクスペディションに挑むために研究開発が重ねられた結果、彼らのテントは極限の状況下に対応できる耐久性と使い勝手の良さを獲得してきた。これは冒険家だけが享受できるメリットではない。私たちライトユーザーが、登山やキャンプで使う際にも、誰でも感じられる快適性や使いやすさにもつながっている。
ヒルバーグ
北欧の厳しい環境下で作られたテントは、冒険家たちからの信頼も厚い。
さらに、細かな説明は省くが、ポールや張り綱などの細部パーツに至るまで、同様の徹底したこだわりを持って構成されている。とにかく、「諦める」とか「手を抜く」という概念を知らないブランドなのだ。
当然、お値段はそれなりにはなる。しかし、この事実を知った今、あなたはまだこのテントを高いと感じるだろうか?
次回後編では、彼らのテントのバリエーションをご紹介する。お楽しみに。
ヒルバーグ
[問い合わせ]
エイアンドエフ
03-3209-7575
http://hilleberg.jp/

池田 圭=取材・文 矢島慎一=写真


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