元箱根ランナーに聞いた。「ヴェイパーはどうなる?」
そして先日、海外メディアからヴェイパーフライが規制される見込みというニュースが流れた。しかし、直後には別メディアからは規制が入る可能性は低いという報道も出るなど、事態はいまだ不透明なまま。
規制されるとなれば、間近に迫った東京オリンピック・パラリンピックの陸上競技へも影響が予想されるが……。
「規制される可能性は低いと考えています。理由は、まず一般のランナーも含めて多くの人が入手可能であること。次に不公平な補助という点ですが、ニューヨーク・タイムズの調査によると、記録の優位性は一般的なシューズと比較すると4%前後。カーボンファイバープレートを用いた同じ仕組みのシューズはほかのメーカーでも採用されていますし、問題視するほどの不公平さではないと思います」と語るのは、自身が元箱根駅伝のランナーであるスポーツライターの酒井政人さんだ(※以下カッコ内はすべて酒井さん)。
かつて北京オリンピック前、当時好記録を連発していた高速水着「レーザー・レーサー」が禁止になったが、その理由のひとつはレーザー・レーサーが高額で製造に時間がかかることだった。入手に、選手間で不公平が生じるというわけである。その点、今や市民ランナーも使用者が増えているヴェイパーフライは、金額的にも生産量にしても入手ハードルはそれほど高くない。
優位性についても、以前、国際陸上連盟は義足のランナーであるオスカー・ピストリウスのカーボン繊維製義足が競技規定に抵触すると使用禁止にするも、スポーツ仲裁裁判所から覆された過去がある。その際に実証されたカーボン繊維製義足の優位性は25%。調査対象や細かな内容は異なるものの、優位性という点ではヴェイパーフライの4%前後と比較すると差は大きい。こうした歴史も踏まえて、国際陸連がヴェイパーフライに対して、どのようなジャッジをするのかは、東京オリンピック・パラリンピックまで注目したいポイントである。
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