連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。
カリフォルニア生まれのクライミングパンツ「
ROKX(ロックス)」の歴史を振り返った
前編に続き、後編は具体的な製品について掘り下げていきたい。
お話を伺ったのは、デザインからPRまで幅広く担当する「エスシーティージャパン」の細野猛彦さん。まずは、ロックスを象徴する定番モデルについて教えていただこう。
これぞクライミングパンツのスタンダード
「創業者のマイク独自のアイデアを各所に盛り込んだ『MG ウッドパンツ』が、ロックスの原点。うちの大定番です。創業時と比べると細かな変更はあるものの、大きな違いはストレッチ性のあるコットンツイル地を採用したことくらいです」。
【大定番】MG ウッドパンツこちらのモデルには、ブランドを象徴する3つのディテールが採用されているという。
ひとつめは、股下に設けられた「ガゼット クロッチ」。
「これがあることで、大胆に足を上げるような動きでも生地が突っ張りません。縫い目に余計な負荷が掛からないので、耐久性アップにもつながっています」。
裾やウエストに設けられた肉厚な「リブ」も、特徴的なディテールのひとつ。着脱を容易にするだけでなく、裾をすっきりと絞ることでバタツキを抑え、登山やクライミング時の足元の視認性を高める役割も果たしている。
最後に、丈夫なナイロン素材で作れた「ウェービングベルト」にも、クライマーならではの発想が盛り込まれている。クライミング時にも片手でベルトを調整できるシンプルな構造になっているのだ。
上記3つのアイデアは、1970年代からマイクが作るクライミングパンツに採用され続けてきたもの。これらのディテールはロックスにとどまらず、現代のクライミングパンツのスタンダードと言っても過言ではないほど、広く採用されている。
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