FUN! the TOKYO 2020
いよいよ今年開催される東京オリンピック・パラリンピック。何かと “遊びざかり”な37.5歳は、 この一大イベントを思い切り楽しむべき。 競技を観るのもするのも、主な拠点となる東京を遊ぶのも、 存分に。2020年の東京を……Let’s have FUN!
開会まで200日を切った東京オリンピック・パラリンピック。いよいよ本格化する
国内の代表枠争いにドキドキし、ボランティアや観戦で参加する人は
期間中のさまざまな出会いへの期待も膨らんでくる頃だろう。
そして競技やイベント以外にも、TOKYO2020の気分を高めてくれるのが、アートである。
現在、東京・江東区の東京都現代美術館で「東京2020 公式アートポスター展」が開催中だ。
1964年の東京オリンピック・パラリンピックの際、グラフィックデザイナーの亀倉雄策によって制作された公式ポスターは、今やアート史におけるエポックメイキングな作品のひとつとして数えられている。
今回は、オリンピックをテーマにしたものが12点、パラリンピックをテーマにしたものが8点。ポスターの作者にはアートディレクターのテセウス・チャン、アーティストのフィリップ・ワイズベッカー、漫画家の荒木飛呂彦、写真家の蜷川実花など錚々たるメンバーが名を連ねており、もしかすると、今後このなかのいすれかが、アート史に語り継がれる作品となる可能性も大いにあるというわけだ。
まあ未来のことはわからなくても、それぞれが表現するTOKYO2020に、アート好きもスポーツ好きも漫画好きも写真好きも、きっと胸がアツくなってくるはず!
今回制作された全作品を作者のコメントとともに一気に見ていこう。
■オリンピックをテーマにした作品 TOKYO2020アートポスター_オリ
あなたの出番です。/浦沢直樹
作者コメント「これはオリンピックのために描きおろした漫画です。競技・人種・性別を超越した描き方に挑戦してみました。すべての人に出番があります。次はあなたの出番です」©Tokyo 2020
スペース・キッカー/大竹伸朗
作者コメント「アトリエに散らばる色紙や印刷物、描きかけの絵を適当に切り抜いて宙に放り投げた・・・ハラハラと色の欠片が落ちた先にザックリと『スペース・キッカー』が現れた」©Tokyo 2020
動線/大原大次郎
作者コメント「本作では、ギリシャから継承された聖火を起点に東京2020オリンピック聖火リレーで紡がれる動線と、その結び目となる800を超える市区町村名を描いている。世界中の第一線のアスリートが集い競技を行う祭典と一個人を結ぶ線は、いったいなんだろう」©Tokyo 2020
翔/金澤翔子
作者コメント「アスリートの魂と大会を支える全ての人々の思いがここ東京から空高く羽ばたき世界中の人に届くことを願って。まばゆい光が差し込む書は選手の躍動感をイメージしました」©Tokyo 2020
Wild Things - Hachilympic/鴻池朋子
作者コメント「人間は一匹の動物として一人一人全部違う身体を持ち、全て違う感覚で世界をとらえ、各々の環世界を通して世界を生きている。それらは一つとして同じものがない。同じ言葉もない。同じ光もない」©Tokyo 2020
五輪の雲/佐藤 卓
作者コメント「世界から集まるアスリート達が、ひとりひとりの個性を持ちながら(多様性)競い合い(自己ベスト)、その総体が最終的に五輪という調和のとれた姿になることを期待した“未来”を、ここに表現しました」©Tokyo 2020
HARMONIZED CHEQUERED EMBLEM STUDY FOR TOKYO 2020 OLYMPIC GAMES [EVEN EDGED MATTERS COULD FORM HARMONIZED CIRCLE WITH "RULE"]/野老朝雄
作者コメント「1964年に行われていたコンパスと定規に依る設計に敬意を表し、未来にはどのような技法で設計が行われているのかを想像し、2020年に生きる作家として次の世代以降に手渡すバトンをつくりました。手で原図をつくることによって紋が現れるまでの補助線や痕跡が視覚化され、また、その線に身体性も投影されます」©Tokyo 2020
東京の子供/ホンマタカシ
作者コメント「オリンピックは選ばれた選手だけのモノではないと考えます。老人から大人、そして子供まで全国民のコトであり、希望であり、記憶に残るモノだという想いで制作しました」©Tokyo 2020
EXTREME REVELATIONS/テセウス・チャン
作者コメント「もともと反逆的なストリートカルチャーから生まれたスケートボードが、オリンピックの1競技になるとは、これまで考えられなかった。スケートボードは独自の言語を持ち、比較的新しいスポーツとして進化し続けている。またアート、デザイン、ファッション、音楽の合成物であり、そこには独自の表現方法もある」©Tokyo 2020
The Games People Play/クリス・オフィリ
作者コメントなし。©Tokyo 2020
Ludus/ヴィヴィアン・サッセン
作者コメント「遊び心があり、色彩豊かで、意義深い作品を作りたいと思いました。競技の喜びを描き出すことを意図していますが、他にも、オリンピックに参加する人々の文化や国籍の多様性を伝えたいと考えました」©Tokyo 2020
オリンピックスタジアム/フィリップ・ワイズベッカー
作者コメント「数か月前、組織委員会から東京2020大会のポスターを制作してほしいといわれた時、はじめは「なぜ静物ばかり描く私が選ばれたのだろう?」と思いました。どうすれば良いか全くわからなかったのですが、こんな栄誉あるご依頼をお断りすることは、無論できません」©Tokyo 2020
■パラリンピックをテーマにした作品
TOKYO2020アートポスター_パラ
神奈川沖浪裏上空/荒木飛呂彦
作者コメント「荒波のような雲。スポーツの神々が上空から日本へ舞い降りるイメージで描きました。葛飾北斎-「神奈川沖浪裏」の構図をモチーフに、富士山を何色に塗るか悩みましたが、ハチミツ色に塗りました」©Tokyo 2020
開/柿沼康二
作者コメント「「全身全霊が宇宙に向かって無条件にぱーっとひらくこと。それが爆発だ。」芸術家・岡本太郎の創造への挑戦と哲学を示す言葉がこの作品の根底をなしています。自身の頂きへ日々挑むアスリートの魂を胸に、『ひらけ!ひらけ!ひらけ!...』と自分自身が完全に開ききるまで筆を紙に叩き込みました」©Tokyo 2020
パラリンピアン/GOO CHOKI PAR
作者コメント「メインモチーフは『前に進む人』。大きく腕を振り、力いっぱい地面を蹴り上げる姿。プリミティブなその運動の造形は、より確かな未来を目指して、前に進もうとする全てのパラリンピアンたちの意志を表すものである。選手ひとりひとりが積み上げてきたもの。試行錯誤をし、進歩し続けてきた人類の歴史、その全てに敬意を表して」©Tokyo 2020
オフェンス No.7/新木友行
作者コメント「試合を生で観戦して胸に響いた車いすバスケットボールを描こうと決めた。選手同士のあついあつい試合、凄いスピード感や力強さ。色は元気になる明るい色を。あつい試合を観客のみんなが楽しんで観戦している。選手が力いっぱいたたかっているその力づよさを明るい色を使いながら描いた」©Tokyo 2020
HARMONIZED CHEQUERED EMBLEM STUDY FOR TOKYO 2020 PARALYMPIC GAMES [EVEN EDGED MATTERS COULD FORM HARMONIZED CIRCLE WITH "RULE"]/野老朝雄
作者コメント「東京2020エンブレムの[組市松紋]は、オリンピック・パラリンピック共に菱形の中点を結び抽出された矩形を同数組み合わせて描いた藍色の円相です。藍色は印刷に於いての耐候性に優れ、時間を経ても残る強く美しい色の一つです」©Tokyo 2020
Higher than the Rainbow/蜷川実花
作者コメント「鳥海連志選手と私、カメラだけが存在する空間で、ただただシャッターを切った。パラアスリートはかっこいい。シンプルなその思いを込めて撮影した1枚」©Tokyo 2020
カーブの向う(五千輪)/森 千裕
作者コメント「棒グラフのようなビル街 内臓のようなジャンクション 歯肉のような踏み心地のする街 新ウルトラC誕生の陰で 小脳を脳ベラで押してみる カラフルなヌカルミ 温められた骨とビル風 空気のバネ 透明なカーブ」©Tokyo 2020
馬からやヲ射る/山口 晃
作者コメントなし。©Tokyo 2020
※作者コメントは抜粋
ハッとさせられる描写や物語を感じるシーン、新しい視点を与えてくれる被写体など、“TOKYO2020”をさまざまに捉えた20点はまるで、オリンピック・パラリンピックは観る人や参加する人の数だけ楽しみ方があると、我々に教えてくれるよう。
これらのポスターは、公式ライセンス商品として一般販売を予定しているとのこと。具体的な販売時期や購入方法は未発表だが、自国開催はこれで最後かもと思いながらポスター展を周れば、どれか1枚は……いや、あれもこれも欲しくなってしまうかも。
といらぬ心配をする前に、まずはイベントに行ってみよう。近代オリンピックの父、クーベルタンも言っていた。「参加することに、意義がある」。
[イベント概要]
東京2020 公式アートポスター展
期間:2020 年1月7日(火)~2月16日(日)※休館日を除く
場所:東京都現代美術館 エントランスホール(東京都江東区三好4-1-1)
時間:10:00〜18:00
入場:無料
[問い合わせ]
東京都現代美術館
03-5777-8600