梅干しサワーの奥深さを満喫したところで、お代わりをいただこう。
「梅干しサワーではありませんが、山形の小嶋総本店が造っている『東光 吟醸梅酒』もおすすめですよ」。
本来は日本酒の蔵元だが、余った酒粕に梅干しを漬けて趣味で梅酒を造っていたところ、口コミで評判が広まり、市販用として本格的に乗り出したそうだ。
正直に言うと梅酒はあまり好きではないが、これはすごかった。今までに飲んだどんな梅酒とも違う芳醇な果実感がある。
「私、現実主義でマイナス思考なんですが、ここで働くようになって世界が広がったんです。いろんな人の話を聞くうちに人生でやりたいことも増えました」。
ここで、焦った様子の男性が店に入ってきて「昨日、カバンの忘れ物ってなかったですか?」と言った。佳織さん、すぐにバックヤードを探す。
他人事ながらホッとしたところでお会計を。読者へのメッセージもお願いします。
【取材協力】梅干しサワー専門店住所:東京都世田谷区北沢2-12-10電話:03-5787-5929https://twitter.com/ume_sour_senmon >連載「看板娘という名の愉悦」をもっと読む石原たきび=取材・文