「20代から好かれる上司・嫌われる上司」とは・・・確かに「経営者目線」は重要だが
パナソニック創業者の松下幸之助氏はかつて「社員は社員稼業の社長」という言葉で、まさに経営者の目線で働くことを推奨していました。
曰く、「自分は単なる会社の一社員ではなく、社員という独立した事業を営む主人公であり経営者である、自分は社員稼業の店主である、というように考えてみてはどうか」(『
社員稼業』PHP研究所まえがきより)、そう考えて上司や同僚も「お客様」「お得意先」と考えて働く方がアイデアも出て楽しいのではないか、自分のためにも会社のためにもなるのではないかということです。これを「やりがい搾取」とか呼ぶ人もいるかもしれませんが、私は共感します。
「経営者目線」の意味が若者に伝わっていない
この言葉が流布したことも一因なのか、現在では日々いたるところで上司達が部下の若手に向かって「経営者と同じ目線に立て」と言いまくっています。しかし、それを受けた若手はどうもあまり響いていないようです。
彼らの言い分を聞いてみると、「自分は経営者じゃないし」「経営者とは給料が違うし」「経営者とは役割が全然違うし」というような受け止め方で釈然としない気分でいるようです。「なぜ、経営者目線が必要なのか」「経営者目線でモノを考えたら、何がいいのか」が伝わっていないのです。
そもそも、「経営者目線」とは何なのでしょうか。
2つの「経営者目線」
ふつうに考えれば「経営者目線」とは、「もし自分が経営者だったらどう考えるか」ということでしょう。しかし、よく考えれば、松下幸之助氏の言う「経営者」と、よく上司が言う「経営者」とは異なります。松下氏が言っているのは、「今の自分の仕事がそのまま1つの会社であった場合に自分は経営者としてどう考えるか」ということです。
ところが、多くの上司は「うちの会社の経営者の立場になったら」と言っているのではないでしょうか。松下氏は「うちの会社の社長の気持ちになれ」などとは言っていません。それどころか「社員稼業に『徹しろ』」とさえ言っています。今の自分の仕事に集中しろということです。
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