一年のストレス浄化にこの一品
ママ 今日はせっかくだから、まず、冬のおばんざいのセットね。いわゆる中医学で言うところの「五臓」にそれぞれ効くように5品アレンジしてみたから、しっかり食べて蓄えてね。若者クン、風邪っぴきみたいだし。
男 粋な計らいだね。ありがたい。料理が豪勢とくりゃ今日で仕事納めにしたい気分だけど、納品が残ってるから、そうもいかなくて。年末はギリギリまで仕事なんすよ。
ママ 若者クン、大変な部署に配属になっちゃったね〜。
男 それが出社は俺だけ。若者クンは、人事の方針もあって社休日の前日から休暇です。
部下 それでも有給1日使わされているんですよ。年度末に多忙の波が来る前に今のうちにとっとけ、って。なかなかブラックでしょう?
男 上司の前でブラックって言うかなぁ。
ママ 立場違えばストレスも違うわね。まずは「香味野菜とカジキマグロの南蛮漬け」。
ママ これは、主に五臓でいう「肝」狙い。1年のストレスは、この料理で鎮めましょう。
<今晩の薬膳用語①> 五臓(ごぞう)=「肝」「心」「脾」「肺」「腎」からなる。中医薬膳の根幹をなす「臓象学説」に記される5つの柱。体に及ぼす役割や機能によって大きく分けられている。 |
部下 ずいぶん本格的ですね。つまり「肝」に効くというのは、ストレスの発散にいいというわけですか。
ママ あら、お察しがいいのね。こちらさんとは大違い。
男 こいつは国立理系卒の優等生。万年係長の俺なんかとは違って幹部候補なんですよ。
ママ あら、新たなイライラを生んじゃったかしら。「肝」に働きかける食材は、カジキ。専門的に言うと「疏肝」「理気」といった作用を備えているの。まさにストレスによるイライラや怒りっぽさを抑えてくれるのね。
<今晩の薬膳用語②> 疏肝(そかん)=ストレスや寒さで滞った気(=肝気鬱結)を疏散し解除する作用。
<今晩の薬膳用語③> 理気(りき)=気をめぐらせたり、気を下ろすことで気滞や気逆を緩和する作用。「疏肝理気」とひと単語として続けて使うことも。 |
部下 完璧な料理ですね! しかもウマい! 1年のストレスもこれで発散っすね!
男 若いってのは単純でいいや。こっちはさ、上からパワハラに気を付けろ、ってどれだけ若手にシルキータッチで接していると思ってんだか。
4/5