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――日本には、落語以外にも、海外に伝えるべき魅力が隠れていそうですね。
魅力ありすぎですよ! 経済的にはバブルが崩壊して元気がなくなったかもしれませんが、たとえ経済力で中国に負けることになっても、技術、文化、美術、芸術など、すばらしいものがあります。地方に行くと、陶器や寄木や、すばらしい伝統工芸がたくさんあるじゃないですか。アピールしないとね。
――日本人はアピールが苦手ですからね。
アピールしないと外国人にはよさが伝わりません。例えばお刺身は長年の修行がないと上手には切れません。包丁にも、長年の伝統と技術、修行が隠れています。それらが合わさって唯一無二の芸術を作り出しているのです。でも、それを知らない外国人には、刺身はただ魚を切っただけに見えます。
私服だと落語家にはとても見えない(写真:筆者撮影)
以前、酒蔵の4代目がニューヨークを訪問して、日本酒を紹介していたのですが、4代目だということをあまり強調しないのですよね。本人は「親父から継いだだけ」みたいな感覚なのかもしれませんが、アメリカ人にとっては、「え!? おじいちゃんのお父さんの代から、150年も日本酒を作り続けているの?」と、感動ポイントですよ。でも、それを説明しないと「おいしいね」で終わってしまう。日本の一流の何がすごいのかを世界に伝えたら、外国人は感動するし、絶対にマーケットはあると思います。自信を持ってください。
――自信といえば、謙遜の文化は、サンシャインさんの目にはどう映りますか?
「つまらないものですが」とプレゼントをくれるから、「たいしたことない物か」と思っていたら、後で「え!? むっちゃすごいモノくれてるやん。早く言ってよ!」となりますね(笑)。アメリカ人なら「むっちゃ貴重なもの持ってきたよ!」と自慢するのに。もちろん、後から価値を知ったからこそ、感動が10倍になるという側面もありますけれどね。
 

外国人の視点から日本の良さを伝える

――サンシャインさんはニューヨークではもちろん、ワールドツアーで世界各地に落語を広め、同時に、マクラでは、日本人気質や日本文化の面白さ、魅力を伝えてくださっています。
ええ、そうです。お任せくださいませ。僕のマクラを聞いた外国人は、「面白い。日本に行きたくなった」と言いますよ。僕の役割は、外国人の視点から、日本のよさを伝えることだと思っています。
――最後に、日本の皆さんにメッセージをお願いします。
いつもお世話になっております。縄文時代からコツコツと、すばらしい文化を築いていただき、ありがとうございます。僕の人生は落語で変わりました。できるだけ恩返しさせていただきます。
 
鯰 美紀:インタビュアー&ライター
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記事提供:東洋経済ONLINE


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