箱根駅伝を面白くする10句●正月の風物詩といえば箱根駅伝。毎年視聴率30%を叩き出すモンスターコンテンツは、見る人の数だけ感動がある。その感動の質を上げるためのヒントとなる10句を、駅伝マニアの集団「EKIDEN News」の主宰・西本武司さんが大いに語る!
・箱根駅伝を面白くする1〜4句はコチラから。【5句】
箱根駅伝は「陸上界の世界遺産」なんだよ!
箱根駅伝の面白さのひとつは、大学を卒業したOBたちが1月2日、3日は箱根に戻ってきて、同窓会のようにワイワイと楽しむところ。
沿道や移動の電車などで、選手や関係者に遭遇する確率も非常に高い。実際、前回の箱根駅伝では、東海大学陸上競技部で前年まで主務を務めていた西川雄一郎さんに、1月2日早朝の大手町で遭遇。結局、僕の仲間と1月3日のゴールまでともに移動を続けながら、応援をしました。こんな大会は世界中を見渡してもどこにもありません。
箱根駅伝のことを「どうせ関東ローカルの大会でしょ」という人もいますが、そうじゃあない。
箱根駅伝がどれくらいスゴいかというと、
国際陸連が2018年12月に、陸上界に実績を残した先人や競技会に贈る
「ヘリテージ・プラーク」という賞を新設したのですが、今年、なんと
箱根駅伝が選ばれたのです。
世界でこの賞を受賞したのは、もう1つ、1800年代から行われているアメリカの競技大会、ペンリレーだけ。ペンリレーと箱根駅伝が陸上界の双璧をなしているのです。
箱根駅伝は世界のどこも真似できないものなんです。そんな大会を見ないなんて、こんなもったいないことがあるでしょうか。
【6句】
テレビにかじりつく必要なし!
往路・復路、全10区、競技時間は11時間にも及びます。
「1日5時間以上も見ていられないよ」という人もいるでしょうが、それは違います。
距離はバラバラですが、1区間は20km強、だいたいハーフマラソンくらいの距離です。
ということは1区間1時間ひと桁台。遅くとも1時間10分で選手は走り切ります。
これをワンターンとして、5セット続くというのが箱根駅伝なのです。
そう考えると、テレビはコンテンツでもありますが、タイムスケジュールでもあるんです。「はい、ここで1セット終わりましたよ」ということを教えてくれる。だから5セットのうち、あなたはどのセットを楽しむのか、と考えればいいのです。
集団で走る1区なのか、各校のエースが投入される2区なのか、はたまた険しい箱根の山道を登る5区なのか……。
すべてが見どころになっているから、どこを選んでも楽しめる。途中で初詣に出かけても、帰ってきてから次のセットを楽しめばいいのです。
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