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長くて辛いだけの有酸素運動はもう古い!

毎朝「電車に乗り遅れちまう!」と階段を全速力で駆け上がり、間一髪で乗車に成功したものの、車内でハアハアと荒い呼吸をしているのは格好悪い。
「これでも体力には結構自信があるし、定期的にジムトレして鍛えているのに、ちょっとダッシュをしただけでこのザマか……」。
そんな経験をしたことのある40代男性は少なくないだろう。原因はズバリ、心肺機能が低いことにある。心肺機能も筋肉と同じで、何の刺激も与えなければ衰えるばかりなのだ。
しかし、心肺機能は筋トレでは鍛えることはできない。そして、さらに問題なのは、世の中の大半の人は、「心肺機能はランニングのような有酸素運動で鍛えられる」と思っていることだ。ランニングブームはいまだ健在ではあるものの、走る→ツラい→時間がかかる→見せ場がない、という四重苦のせいで、ランニングに踏み出すことを躊躇している人も多いだろう。
そんな難題を解決してくれるのが、低酸素トレーニングだ。
「低酸素環境下に置かれると、酸素が足りないから体は酸欠状態に陥ります。それを脳が察知すると、慌てて赤血球を増やそうとするんです。赤血球って酸素を運ぶ役割を持つトラックのような存在なので、数が増えれば全身にどんどん酸素を巡らせることができて酸欠状態を改善できる。だから、脳はトラックの台数を増やそうと必死になるわけです。息切れは酸欠のサインなので、赤血球が全身に必要量の酸素を供給し続けられれば、ハアハアはしないんです」と新田さん。
ではなぜ、低酸素下なのに楽だと感じるのだろうか?
「空気が薄いと1回の呼吸で取り込める酸素の量が減る。すると当然、息苦しさを感じますよね。しかしその一方で、体内ではさまざまな適応反応が起こるんです。『空気が薄い』と察知すれば、その低酸素環境に順応しようとする。その適応反応を意図的に繰り返すことで、心肺機能をはじめとした身体機能が強化できる、という仕組みです。まさに時短高負荷ですよ」(新田)。
パルオキシメーター
ちなみに、低酸素トレーニング時には安全確保のため、赤血球中の酸素と結合しているヘモグロビンの割合を示す指標である「酸素飽和度」をパルオキシメーターで測定しながら行う。通常の酸素飽和度は97%以上だが、トレーニング中は80%程度まで下がることを知っておこう。万が一数値に異常がみられたらすぐにトレーニングを中止するなど、安全への配慮を忘れずに。


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