ホテル、いかない?●ハイセンスなカプセルホテルや、体験が売りのコンセプトホテル、泊まらずとも特別な時間が過ごせるシティホテルなど、TOKYO 2020に向けて急速に変わりつつある東京のホテル事情。それをチェックしたら、ねぇ、ホテル行かない?
「滞在中は、ぜんぜん眠れませんでした」。
普通のホテルだったら間違いなくクレームだが、このホテルではむしろ褒め言葉。
それがマンガに囲まれたカプセルホテル「MANGA ART HOTEL」だ。東京・神田の雑居ビルの4、5階にあるこのホテルは、女性専用フロアに2300冊、男性専用フロアに2700冊、計5000冊ものマンガを取り揃えている。19時までは自由に行き来ができ、それ以降はスタッフにお願いすれば持ってきてもらえるというシステムだ。
現在、日本では1日に約30巻のペースでマンガが出版されているといわれ、その膨大なタイトルの中から、このホテルでは定期的にスタッフによる選考会を開き、2カ月ごとに200タイトルほどが入れ替えられる。
選書の基準は“感情を揺さぶるもの”。
本棚に並ぶマンガの横には、それぞれスタッフがその物語の何に感情を揺さぶられたのか、おすすめコメントが添えられているのも特徴だ。
例えば『ゴールデンカムイ』(集英社)であれば、謎解きのなかに、この料理を食べてみたいと思わせる描写や、怖さ、グロテスクさなどがあり、さまざまな感情の揺さぶりを感じられるのが推薦理由だ。
そのコメントに興味を引かれ、軽い気持ちで1冊手にすると、あっという間に時間を忘れて没入してしまう。なかには2〜3週間滞在するゲストがいるというから、たとえ眠れなくても、居心地の良さは圧倒的なのだろう。
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