購入にいたる腕時計のダイヤルカラーは、往々にして白か黒というのが相場と決まっている。だが時計選びに、機能やデザインに加えて、アクセサリーとしての観点を加えてみたらどうだろう。
昨今は各ブランドが趣向を凝らしたカラーを纏った時計も多く、ファッションとのコーディネートも含めて、装いの楽しみ方はさらに広がっている。カラーダイヤルが彩るのは“自分らしさ”なのだ。
PANERAI
パネライ/ラジオミール-45MM
ナチュラルカラーにタフネスな出自を漂わせるミリタリーグリーンは、周囲の色に溶け込み、目立たないよう意図的に作られ、それは色であって色ではないモノクロームだとパネライは言う。だがそうした一般的な定義を超えた存在感に、ミリタリーを出自とする「ラジオミール」との深い相関性を感じさせる。
イタリア海軍のミッションウォッチとして1936年に誕生してから、’40年代に進化を遂げたシェイプに、時分針とスモールセコンドというシンプルな装備。それは秒を読み取るという以上に、確実な動作を確認するインジケーターの意味合いが強い。控えめなミリタリーグリーンには、そんなタフネスなアイデンティティが宿るのだ。
ROLEX
ロレックス/オイスター パーペチュアル 34
時代を超越した普遍性を彩るカラーに男の品格が薫るロレックスの3大発明として知られる、世界初の防水性能を備えたオイスターケースと、永続を意味するパーペチュアルと名付けられた自動巻き機構を搭載する「オイスター パーペチュアル」(ちなみにもうひとつの発明はデイトジャストのカレンダー機構)。普遍的ともいえる腕時計のスタイルに、スポーティな3連ブレスレットを組み合わせ、アクティブな魅力を纏う。
この質実剛健に男の色気を添えるのがレッドグレープのダイヤルだ。元来パープルは高貴な色に位置付けられ、34mm径という小ぶりなケースと相まってシックなワンポイントのアクセントとしても楽しめる。
EDOX
エドックス/クロノオフショア1 クロノグラフ オートマチック
ファーマメント シートゥスカイ リミテッドエディション
大空と海へのロマンはいつだって忘れたくないブランド設立135周年を記念し、“シートゥスカイ”をテーマに自然界の色で海から空へ広がるダイナミズムを表現したモデル。“海のF1”と称されるパワーボートの疾走感や力強さを表現する旗艦コレクション「クロノオフショア1」に、澄み切った空をイメージした鮮やかなスカイブルーを採用。ケースからセラミックスベゼル、レザーストラップまですべてをブルーで統一した。華やかなダイヤモンドインデックスで「135」を祝う。
CAMPANOLA
カンパノラ/グランドコンプリケーション AH4080-01Z
極上の複雑機構をより手軽に、さらに伝統を込めてミニッツリピーター、ムーンフェイズ、パーペチュアルカレンダー、クロノグラフという代表的な複雑機構の醍醐味をクオーツで日常的に楽しめる。これに重厚感を加える文字盤の漆仕上げは、「深緋(こきあけ)」と呼ばれる、茜と紫で染めた日本古来の伝統カラー。漆ならではの独特の深みと艶が立体的なダイヤルに映える。
MONTBLANC
モンブラン/モンブラン ヘリテイジ パルソグラフ
リミテッドエディション 100
ヴィンテージな意匠を盛り上げる美しい色使い1858年にスイスのヴィルレで設立された今は亡きクロノグラフメーカー「ミネルバ」の伝統を受け継ぎ、1940年代から’50年代のデザインコードを再現。かつて医師が患者の心拍数を測るために使った脈拍計をダイヤルに備え、右側のクロノグラフの分積算カウンターには3、6、9分の目盛りが強調されている。これはかつて3分おきにコインを入れなければならなかった、公衆電話の基準分数を再現したものだ。こうしたレトロな意匠を日焼けしたようなサーモンピンクがさらに引き立てる。
BREITLING
ブライトリング/アベンジャー オートマチック 45 シーウルフ
鮮烈なダイヤルカラーに込められたブランドの矜持航空界と強く結びつき、特化した機能とともに空の世界観を表現するブライトリングにおいて、「アベンジャー」はより先進的で現代的なパイロットウォッチに位置付けられる。回転式ベゼルに備えたライダータブはそのアイコンであり、優れた視認性に加え、グローブをした手でも確実にベゼルを回転操作できる。
また、空だけでなく海中も意識した3000m防水の驚異的な気密性を秘めたタフネスを鮮やかなイエローが飾り、道具としての存在をより強調する。その信頼感を表現するには、まさにブライトリングのシンボルカラーであるイエローが相応しいのだ。
※本文中における素材の略称は以下のとおり。SS=ステンレススチール
渡辺修身=写真 菊池陽之介=スタイリング MASAYUKI(The VOICE)=ヘアメイク