理想を実現するため素材も自分たちで試行錯誤
——それが今では憧れアウトドアブランドのひとつにまでなっています。’07年に現在使用しているのと同じ70Dナイロンが完成します。まずこれが転機でした。また、当時の我々の悪戦苦闘を応援してくれていた、ドメスティックブランドさんとのコラボが実現したことも大きかったです。
アメカジ好きはもちろんモードが好きな方まで、ジャンルを超えて人々の“ツボ”を刺激し、一気に浸透していきましたね。アウトドアブランドと呼ぶのがいいのか? 今では、ふわっとした独自の立ち位置に行けたかと思います。
——アメカジだけでなく、アウトドアフリークからの支持も高いですよね。防寒性に優れるダウンウェアは外遊びと好相性。特にキャンプには最適です。あとはこだわりのディテールも評価されているポイントかと。シンボリックな継ぎ目のない一枚革ヨークは、本国でも”ワンナッパ”と呼ばれて親しまれていたようです。かなり贅沢な素材の使い方で、コストがかかるのが悩みですが(笑)。
そのヨーク部分のステッチはボディのナイロンと同じ色にしてコントラストをつけています。物づくりのセオリーだとレザー部分にはレザーに合わせたステッチですけどね。ルーツであるアメリカは合理的。生産効率を上げたかったのでしょう、「別に糸の色は変えなくていいじゃん」という発想が返って良いデザインに。
こういったこともヴィンテージの仕様の中から得た情報です。ボタンは爪付きで、固定されているから回らない。これはダウン抜けを防ぐさり気ない工夫です。こういった細部への気配りが「ロッキーマウンテン フェザーベッド」の魅力だと思います。
——今後もヴィンテージのリプロダクトを追求していくのでしょうか?根底にはヴィンテージのカッコ良さを表現するスタイルがありますが、インナーダウンラインのシックスマンスコレクションや、’90年代を彷彿とさせるナイス スタフィンコレクションなど、現代的ニュアンスの強いモデルも製作することで、クラシックの持ち味を生かしつつ進化させたテイストも提案しています。
例としては、UGGとビームスとのコラボレーションがわかりやすいですね。定番であるクラシックミニのシャフトを、ダウンが詰まったリップストップナイロンに変え、冬の最強ブーツにしたかったのです。僕が1年以上前から描いていた夢のモデルが現実になりました。
——今後はブランドとして、どういった展開を考えていますか?Rocky Mountain Featherbedの頭文字「R」は発音記号でA’r(アール)と書くのですが、そこに番地の2-27-24を付けた名前の直営の1号店「Ar’22724」がようやくできました。これからはお客さんの声を直接聞けて、こちらからも魅力が伝えやすい直営店展開の拡大が目標です。
ダウン以外のコレクションを増やすことでも、もっと多くの人に「ロッキーマウンテン フェザーベッド」を知ってもらいたいですね。あとは、皆さんに驚いてもらえるようなコラボレーションも準備していますので、これからも期待していてください。
【取材協力】Ar’22724住所:東京都中央区東日本橋2-27-24電話番号:080-7024-4090営業:13:00〜20:00火曜定休金井幸男=取材・文 小島マサヒロ=写真