何かのパーティグッズ?と勘違いしてしまいそうだが、マフラーである。
全長2.5mを超えるガイコツのマフラー。そう、ロエベのクリエイティブ・ディレクターを務めるジョナサン・アンダーソンの作るものはいつだって面白い。
今季シーズナルコレクションにおいては、19世紀のイギリス美術界を席巻した「アーツ&クラフツ運動」のキーマン、ウィリアム・ド・モーガンに焦点を当てた。陶芸家であった彼の革新的な施釉や彩色にインスパイアされ、クジャクがプリントされたトレンチコートや花を刺繍したバッグなどを制作している。
このマフラーもやはりひと目で面白さが伝わるデザイン。だが「それだけじゃない」のが、ジョナサン・アンダーソンの真骨頂だと思う。
素材はカシミヤで保温性と肌触りは抜群。あえてのローゲージ編みでカジュアルな雰囲気を演出している。そして実際に巻いてみると、ご覧のとおり意外なほどシックにまとまる点も見事。
ユニークだが背景にストーリーを持ち、きちんとファッションの「タメになる」アイテムに仕上がっているというわけだ。
清水健吾=写真 来田拓也=スタイリング 加瀬友重=文