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「家事はサプライズじゃ意味がない」

—未だに料理や洗濯、掃除を特別なこととして捉える夫は多いと思います。
要はね、今何をしたらパートナーが嬉しいかを第一優先に考えること。これも愛情よね。妻が料理をしていたら、仕上げるのに必死であとに残る洗い物まで手が回らないの。だから、その横で次から次へと洗い物が減っていったらそれこそ彼女は料理を楽しめてもっと美味しいものを作ろうと思うわね。
基本的に、普段できていない家事を手伝うことはとても素敵なこと。ただ、動機が不純だったり、単なる点数稼ぎで、サプライズみたいにその日だけやるようなものではありません。毎日のことですからね。その下心は、きっと相手にも伝わってしまっているものです。
—耳が痛いです……(汗)
妻には、長年家事をしてきた末に生み出した独自のルーティーンや方法があるものです。それを急に崩されると、かえってフラストレーションが溜まってしまうかもしれませんね。サプライズをするのであれば、お誕生日に“手伝ってほしい家事を書いてください”というメモを渡されたほうが私は嬉しく思うわね。
 

「仕事だけでは半人前」

—なるほど。
千葉敦子さんという著名なジャーナリストがいらっしゃったでしょ。彼女が言うにはね、経済活動に秀でていても、身の回りの食べる、寝る、掃除をするなどができなければ、それは人として半人前。両方ができてこそ一人前だとおっしゃっていました。私もその通りだと思います。
いつ妻が倒れて、ひとりになるかも分かりませんからね。そこでまともな生活ができないようではいただけません。パートナーを喜ばせるためだけではなく、周囲が、自分が、ずっと幸せに暮らしていくために。そう思えば、自然と家事にも意識が向くんじゃないかしら。そしてそんな気持ちからやってくれた家事は、最初はどんなに下手であったとしも、喜ばない妻なんていないはずですよ。
 
聞けば聞くほど、普段の自分の心持ちとパートナーへの態度を考えさせられるミセス・パンプキンさんのお話。
「すれ違いをなくすのも、本当の格好良さも、パートナーへの愛情をベースに成り立つものです」という彼女の言葉を、我々は真摯に受け止める必要があるようだ。
次回は、家事が苦手な人への金言を。
 
菊地 亮=文


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