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不要な「過去の経緯」を聞かれれば鬱陶しいのは当然

つまり「過去の経緯」に対する感性がおじさんと若者ではまるで異なるのです。おじさんにとって過去は大切な宝物であるかもしれません。けれど、若者は将来宝物になるかもしれない「今」をまさに生きているのであり、直接的には自分と関係のない知らない過去どうだったかという話などどうでもよく、変な茶々を入れられたくないのです。
会社の歴史も、事業の変遷も、仕事の改善の経緯も、前任者のやってきたことも、どうでもいい。スタートラインさえわかっていればいい。それなのに上司が、特段必要もない「過去の経緯」を「ちなみに、この件ってどうしてこういうことになったんだっけ」と聞いてきたら鬱陶しいのです。

不安でも一緒に前を向いていきましょう

もちろん、重大な事故の後の再発防止を考える際など、問題の質によっては「過去の経緯」を振り返る原因分析は必要です。しかし、サンクコスト(埋没費用)のように「終わったこと」として諦めるしかなく、忘れてしまって前を向いて進む方が生産的な場合であっても、おじさんは心の不安ゆえに「で、なんでこうなったんだっけ」と言ってしまいがちです。
ですから、「この過去の経緯は本当に必要なのか」を自問自答してから、YESの場合だけ、恐る恐るメンバーに聞くか、あるいは今を生きる若者の邪魔を極力したくないのであれば、自分の不安の解消も兼ねて、上司自身が自分で「過去の経緯」を調べてみてはどうでしょうか。
曽和利光=文
株式会社 人材研究所(Talented People Laboratory Inc.)代表取締役社長
1995年 京都大学教育学部心理学科卒業後、株式会社リクルートに入社し人事部に配属。以後人事コンサルタント、人事部採用グループゼネラルマネジャーなどを経験。その後ライフネット生命保険株式会社、株式会社オープンハウスの人事部門責任者を経て、2011年に同社を設立。組織人事コンサルティング、採用アウトソーシング、人材紹介・ヘッドハンティング、組織開発など、採用を中核に企業全体の組織運営におけるコンサルティング業務を行っている。
 
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「20代から好かれる上司・嫌われる上司」
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石井あかね=イラスト


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