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過去と現在がつながっていることに安心する

「世代性」を獲得するには、その前提として「現在という時間は孤立したものではなく、悠久の過去とつながっている」ということを確信しなくてはなりません。「時間の連続性」を感じることで、「今ここ」でやっていることは何かに影響を与えてきっと未来へとつながっていく、無益ではないと希望を持つわけです。
この確信を得るため、おじさんたちは過去と現在とのつながりである歴史を、必死で確認しているのではないでしょうか。だから、「今こうなっている」がどんなに明確でも、それだけでは満足せず、必ず「どうしてそうなったのか」という「過去の経緯」という原因究明を行ってしまうのです。特に意味がなくても。

若者は過去にはあまり興味がない

ところが、若い人はどうもそうではないようです。思春期の息子に「ほら、これはこういう由来なんだよ」とドヤ顔で説明しても「ふうん。で?」と素っ気ない返事しかもらえず、寂しい思いをしています。
しかし、そう言えば、私も若い頃、歴史などには全く興味がありませんでした。「どうしてそうなったのか」なんて知っても意味がない。どうしてかはわからなくても「今こうなっている」のだから、そこから未来へスタートすればいいのではないか、原因究明という名の犯人探しをしても仕方がないと結構本気で思っていました。終わったことをあれこれ言ってどうなる、うざいな、と。まさに「ふうん。で?」です。

若者は「今を生きる」

古代ローマの詩人ホラティウスは、詩の一節で「今を生きろ」(原語”Carpe Diem”、英訳”Seize the day”)と言っています(今は亡きロビン・ウィリアムズの、全寮制の学校を舞台にした映画「いまを生きる」で知りました)。
どうなるかわからない明日を思い悩んでも仕方がない。今この素晴らしい瞬間を味わって生きようではないか、と。松岡修造さんのカレンダー(弊社にあります)も、「後ろを見るな!前も見るな!今を見ろ!」と言っていますが、同じ意味だと思います。まさにこれが、若者の心情ではないでしょうか。確かに若き素晴らしき日々は短く、前後を気にしていたらあっという間に過ぎてしまうでしょう。


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