死ぬまでに行きたい島の旅●旅先(=非日常)で得るインプットは、男の日常のアウトプットに大きな影響を与える。1981年生まれ、一児の父、オーシャンズ世代ど真ん中のトラベルエディター伊澤慶一さんは、だから今日も旅に出る。連載「度々、旅。」の4シリーズ目は、死ぬまでに一度は行きたい、ヨーロッパの島の旅。
四方を海に囲まれた島は、その閉鎖性ゆえに人間の心を掻き立てる空間。大人の男にとっては子供心や遊び心を取り戻す場所であり、息子にとっては冒険心を育む新世界。ここで妻は自分に“恋心”を取り戻して……くれるかはわかりませんが、今回はそんな情緒をたっぷり感じられる「島旅」へ出発したいと思います。
舞台は夏のイタリア、まずは地中海に浮かぶプローチダ島を目指します。
南イタリアにあるプローチダ島は、世界三大美港のひとつ、ナポリから、高速船で約1時間のところにあります。
乗り込むのは、地元のナポリっ子も利用する定期船「ポール&シャーク」号。ローカル感を味わいながら、いざ出発!
アマルフィやチンクエ・テッレなどカラフルな町並みが多いイタリア。プローチダ島もそのひとつで、広さは4㎢ほど。1日あれば歩いて観光できてしまう小さな島です。
世界遺産のアマルフィと比較するとまだまだ観光地化はされていませんが、島いちばんの見どころのひとつ「コッリチェッラ地区」を見渡せる丘は、それに勝るとも劣らない絶景との噂。ならば見ないわけにはいかないと、そちらを目指します。
島の人々のようにバイクにまたがって颯爽と向かいたいところですが、レンタルバイク屋を見つけられず、泣く泣く徒歩で。夏の強い日射しの下、石畳の坂道は結構キツいです。
しかも迷路のように入り組んだ道に迷いながら、おそらく30分で着く距離を1時間ほどかけて到着。そんな苦労も疲れも一瞬で吹っ飛んだ丘の上からの景色がこちら。
思わず言葉を失うほどの絶景とはこのことです。道にも迷い、苦労して坂道を登って汗だくになったからというのもあるかもしれませんが、前日に見たアマルフィの景色よりも感動しました。海の透明度も抜群なのに、ほとんど海水浴客の姿がない。アマルフィのビーチはどこも人でごった返していたので、そこも好印象。水着を持って来れば良かったと後悔しました。
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