義両親との関係も妻の心が離れる原因のひとつに
もうひとつ、離婚を考えた理由として挙がったのは義両親、特に義母との関係。
嫁と姑との揉め事に対して、夫が姑の肩を持つというは、かなりリスキーです。万が一、妻に非があったとしても、フラットな立場でジャッジなどしてしまうと関係性が悪化します。なぜなら、妻は、冷静に考えれば自分も悪いことはわかっていても、夫があからさまに母親の味方をしたと思った瞬間に、冷静ではいられなくなったりするからです。
こういう場合には、どっちが悪いかはいったん置いておいて、母親に対しては母親の味方をし、妻に対しては妻の味方をすればいいのではないかと思います。「そっかー。確かにそれは大変だったね」と、ただただ、妻が言っていることを、肯定も否定もせず受け止めるだけで、妻の怒りは徐々に収まるはず。女性にとっては、何よりも話を聞いてもらうことが大事なんです。
今は我慢、でも子供が成人したら離婚したい
また、離婚を思いとどまっている理由も聞いてみたところ、いちばん多かったのは、子供には父親が必要だからとか、教育費にはお金がかかるから、といった理由。もしこのままの関係性が続き、十数年後に子供が巣立ってしまったら、離婚もあり得るということです。
別の設問で、将来的に離婚することはあり得るかを聞いてみたところ「子供が独立したら」と答えた方が1割程度いました。その詳細を見てみると「子供が将来結婚や独立して家を出たとき、夫と2人の生活に耐えられるか不安」(大阪府・40歳)とか、「今は子供のために一緒にいるけど、子供が自立したら私も自立する」(広島県・41歳)、「子供が自立してしまったら、夫のためだけに家事をできるかな、2人で暮らして楽しいだろうか……と思ってしまう」(大阪府・41歳)などの声がありました。
また、嫁の立場としてもうひとつ気になるのが、義両親の介護です。中には義両親と顔をあわせるたびに「介護が必要になったら頼むぞ」と言われることに対して、「冗談じゃない。受け入れられない」と思ってしまっている人も。嫁の立場としては、介護をすべて押し付けられるのではないか……と不安に思ってしまうのもわかります。この点については、両方の親が元気なうちに、なるべく話し合っておきたいものです。
シニア世代になってから1人になった場合、特に家のことを何もしないで過ごしてきた男性ほど、大変になることは目に見えています。「お金さえあればどうにかなる」と思っている方もいるかもしれませんが、仕事だけに邁進してきた人が、仕事もない、妻もいないとなったらどうなるか……。
熟年離婚とならないように、今からきちんと夫婦間の会話を大事にして、すれ違いをなくしておくことが、平和な老後を迎えるために大事なことと言えるでしょう。
相馬由子=取材・文
編集者、ライター。合同会社ディライトフル代表。雑誌、ウェブ、書籍などの企画・編集・執筆を手掛ける。会社員の夫と小1の娘の3人家族。ここ数年は、子育てをテーマにした仕事を数多く手掛けている。
石井あかね=イラスト
ネオ・マーケティング=アンケート協力
※調査対象:既婚子持ちの35〜45歳の女性200人