>【前編】を読む現在、ラグビー解説者として活躍する大西将太郎さん(40歳)。1999年、22歳のときに初めて日本代表に選出された大西さんだったが、その後は代表から遠のく日々が続く。
2003年W杯での同世代の活躍を見て、悔しい気持ちはさらに募った。そこで大西さんはオーストラリアにラグビー留学。クラブチームに所属し、そこで改めてラグビーを見つめ直すことにしたのだ。
「当時は海外チームと試合する機会自体が少なかった。海外でプレーしてみて自分が今までいかに小さい世界のなかでラグビーを見ていたか、痛感しました」。
異国の地で学んだこと、それは現在の日本ラグビーの合言葉「ワンチーム」にも通ずる精神だった。
「海外では選手同士がしっかりコミュニケーションを取らないと、そもそもパスがもらえない。そこで初めて、『自分は日本で甘えていたかもしれない』と気づきました。ラグビーではまず、仲間に認めてもらうことが第一だったんです。体を張ったタックルを見せて、自分が仲間を信じれば仲間もそれに応えてくれる。信頼のもとにプレーすることの大切さを、コミュニケーションが難しい状況下だからこそ強く感じたんです」。
今年の日本ラグビーの躍進も、異なる文化や背景を持ちながらも互いをリスペクトし、勝利に向けてチームが一丸となって闘う姿勢が呼び込んだ結果だった。選手間の信頼の重要性を痛感し帰国した大西選手は、2007年に再び日本代表に選出された。
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