かのウィンザー公にも愛用され、高い人気を博し続けるチャッカブーツ。マノロ ブラニクの手掛けた「ロドリゴ」は、贅沢なカーフスエードを使い、つま先に向かって美しいラインを描く。さらに、ウルトラライトソールを採用することで軽快な履き心地に仕上げた。エレガンスとリラックス、その調和に巧みな技が光る。まさに、時代の気分を反映した一足だ。
19世紀に君臨したダンディズムの始祖、ボー・ブランメルから着想を得たスリッポン「マリオ」。彼が、くつろぐ際に着ていたラウンジスーツに合わせていたのは、きっとこんな上質な靴に違いない。上品なダークグリーンのベルベットは、秋の装いを格調高いスタイルに昇華させ、きっと諸兄を素敵な場所へと誘ってくれるだろう。
中野香織(なかのかおり)●服飾史家として研究・執筆・講演を行うほか、企業のアドバイザーを務める。昭和女子大学客員教授。日本経済新聞・読売新聞など数紙で連載中。著書『ロイヤルスタイル 英国王室ファッション史』ほか多数。
www.kaori-nakano.com 生田昌士(hannah)=写真 池田 敬=スタイリング 山形栄介=ヘアメイク 中野香織=文