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世間から浴びせられた「ざまぁみろ」の声


こうして、常に周囲からの批判にさらされてきた青木だったが、追い打ちをかけるかのように、世の中から痛烈な批判を浴びたのは、2009年、そして2010年の大晦日に行われた格闘技イベント「Dynamite!! ~勇気のチカラ~」でのことである。
「Dynamite!! ~勇気のチカラ2009~」で、腕を骨折して倒れていた廣田瑞人選手に対し、顔の前で中指を突き立てるという卑劣な行為を行なった青木に、格闘技界の内外から強烈なバッシングが浴びせられる。これで青木は完全に世間を敵に回すことになった。さらに、その1年後の大晦日に、今度は、当時立ち技で活躍していた長島☆自演乙☆雄一郎選手と異種格闘技戦を行うことになる。
この試合は、第1ラウンドは立ち技ルール、第2ラウンド目は総合格闘技ルールという変則的なレギュレーションで行われた。青木が第1ラウンドをどのように戦うのかに注目が集まったが、青木がとった作戦は、「時間稼ぎ」だった。
クリンチ(相手の体に抱きついたり体の一部を掴んで相手の動きを止める行為)を多用したり、何度もドロップキックを放ち、そのまま倒れこんだりしながら、時間を浪費する作戦にでたのである。
正々堂々と戦わない青木に、観客はブーイングを浴びせたが、それでも勝負に徹し、第1ラウンドを凌ぎ切った。場内は騒然とし、リングサイドに座る解説者のなかには、青木を卑怯者呼ばわりするものもいた。
続く第2ラウンドは、総合格闘技ルール。青木が得意とする寝技に持ち込んで難なく勝利をすることを、誰もが想像したはずだ。そして運命の第2ラウンドが始まる。開始と同時に、寝技に持ち込もうと、相手の足腰をめがけてタックルを仕掛けた青木は、そこでプッツリと記憶を失った。なんと、カウンターで相手の膝蹴りをまともに受け、まさかの失神KO負けを喫したのである。
会場内は、一気に大歓声に包まれた。解説者たちも興奮し、もはや解説の仕事を投げ出して勝者を祝福し、青木を批判する。自分の土俵である総合格闘技ルールで無様な姿をさらけ出す青木をみて、多くの観客と視聴者はこう言った。
「ざまぁみろ」。


4/5

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