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むやみに「本音」などぶつけなくてもよい

では、どうすればよいのか。部下が何を考えているのか聞いてはいけないのかというと、そういうことではありません。あくまで「本音をぶつけ合う」必要がないというだけであり、上司としては部下の考えを把握しておくことは必要でしょう。
それならば、部下が気を使うことなく話せるような雰囲気づくりをして、純粋にただただ部下の考えを傾聴すればよいのです。部下の本音を引き出すために、上司が自分の本音を言うことは必要ありません。
むしろ、上司が言ったことを違う考えを部下が持っていた場合、単に本音を言いにくくなるのがオチです。上司が自分の意見をむやみに「ぶつけて」はいけないのです。

「聞く」のではなく、じっと「見る」

さらに言えば、部下に「本音」を言わせることすら必要がなくなるのが理想かもしれません。いくら「本音」と言っても主観的な意見です。人は自分のことを完全にわかっているわけではありませんから、本人が「本音」だということが必ずしも本当の考えではないかもしれません。
言っていることとやっていることが違うということは珍しいことではありません。上司は部下の意見を聞くだけではなく、部下の行動を丁寧に観察することのほうが重要ではないでしょうか。
結局は「何をやるか」にその人の「本音」が隠れています。日々、部下をきちんと見ていれば、あえて聞かなくとも「本音」は推測できるのではないでしょうか。

「自分のことを見てくれている」が褒め言葉

実際、若い人が自分の上司を賞賛するときの常套句が、「あの人は自分のことをきちんと見てくれている」です。会社が定めた1 on 1ミーティングや定期評価の面談などだけで形式的にこなして、その場限りの傾聴を一応きっちりと行なったとしても、日常的に自分に関心を払ってくれていないと感じる上司に心を開くでしょうか。
私はよく人事コンサルティングで評価報酬制度設計などを行なっているのですが、多くの会社で上司がいかに部下のことを見ていないのかがわかります。部下の状態を記述してもらっても、具体的なことが何も出てこないからです。ちゃんと関心を持っている上司は部下の記述が極めて具体的です。


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