いろんな曲がり角の37.5歳に、薬膳ママからツマミのレシピをお届け。旬な食材を使ったツマミをアテに、美味しくカラダを整えよ!
長かった夏が終わったと思ったら突然寒さがやってきて、体調管理が難しい今日この頃。秋も深まってきたら、冬に備えて養生する食材を摂っていきましょう。今回は、日本酒が合いそうな2品のレシピを用意。徳利片手に、秋の夜長を楽しんでくださいね。
ひと皿目「小芋の葛粉揚げ、くるみ味噌添え」
まずは、京都のおばんざいでも人気の「
小芋のから揚げ」を冬に向けて薬膳にアレンジしたツマミから。
里芋には、
調中(【
ちょうちゅう】お腹の調子を整え、むくみを取る)という働きがあるため、秋から冬にかけて寒さでお腹の働きが悪くなる季節に積極的にとっていきたい食材です。今回は里芋(親芋)のまわりについてできる小芋を使用。小芋は子孫繁栄などの意味から縁起がよく、京都ではおせちやおばんざいによく使われる食材です。
そんな
小芋を葛粉で揚げることで、
生津(【
せいしん】身体の中から潤いを与える)効果も期待。さらに、
潤肺(【
じゅんぱい】肺を潤す)という働きを持つ銀杏を添え、秋の空気の乾燥から肺を守ります。さらに、冬に向けて
補腎(【
ほじん】身体に元気を蓄える働き)効果のあるくるみを使ったくるみ味噌を添えるのがオススメです。美味しいお酒を楽しみつつ、冬に備えましょう。
[材料]2人分 小芋 150g(8個くらい) 銀杏 6〜7個くらい 水 500ml 昆布 5cm角2枚 酒 大さじ2 みりん 大さじ2 醤油 大さじ1 味噌 50g(赤味噌と白味噌を5:5で合わせると美味しい) 葛粉 適量 くるみ 25g 揚げ油 適量 [作り方] ①出汁をひく。昆布を水に浸し、30分ほど漬けてから中火にかける。沸騰する前に昆布を取り出し、冷ます。 ② ①に小芋を入れ、串が通るほどにやわらかくなったら、酒、醤油を入れ水気がなくなるまで煮て、味を含ませる。 ③葛粉を砕いて細かい粉末にし、②にまぶして、180度に熱した揚げ油でカラッと揚げる。 ④ 銀杏を素揚げにする。 ⑤くるみをみじん切りにし、味噌、みりんをあわせて練り味噌を作る。 ⑥ ③と④を皿に盛り、⑤を脇に添えて彩りよく盛り付けたら出来上がり! |
ふた皿目「帆立と海苔の磯バター醤油」
帆立の美味しい季節がやってきます。新鮮な帆立はさっと焼いて、バターと醤油をちょっと垂らしたらいい香りが鼻腔をくすぐり、日本酒もすすみそうですね。
帆立は
滋陰(【
じいん】身体の中から潤す)効果と、
補腎(【ほじん】身体にパワーをつける
)効果があるので、冬にかけて食べていただきたい食材です。バターを合わせる食べ方が多いと思いますが、バターには
補五臓(【
ほごぞう】五臓のいずれにも働きかける)効果があるので、薬膳的にも理に適ったメニューと言えるでしょう。
今回はそこに、みょうがと青じそ、松の実をトッピング。
みょうがは身体をあたため、青じそは身体表面の寒さを取る働きがあるので、風邪予防にいいんです。そして、
潤肺(【
じゅんぱい】肺を潤す)と
止咳(【
しがい】咳を止める)効果がある松の実でダメ押しです。
[材料]2人分 帆立 4個(殻付きがおいしい) バター 20g みょうが 2本 青じそ 10枚 松の実 10g 海苔 大きなもの2枚 醤油 少々 [作り方] ① 帆立は殻付きの場合、殻から外す。 ② みょうが、青じそをそれぞれ細切りにする。 ③ 松の実はほんのり色がつく程度に炒る。 ④ 熱したフライパンにバターを入れ、バターが溶けたら帆立を入れ、焼き色がつくくらい両面を焼く(焼きすぎないように注意)。仕上げに醤油を少々回し入れ、香りをたたせる。 ⑤ 器に海苔を敷き、焼いた帆立(④)を乗せる。②を添えたら、③を振りかけて完成! |
お皿のような大きな海苔をちぎりながら、帆立を包んで口の中を磯の香りいっぱいにして召し上がってみてください。
[薬膳ママからひと言]最後に秋の養生法を。秋の乾いた空気は「肺」を傷めやすく、風邪をひきやすくなったり、喉が痛くなったりします。肺を潤す食材を摂りつつ、部屋の空気も乾燥しないように気をつけてくださいね。美味しい「秋の味覚」を食べて健康管理。その脇にお酒もあれば自然と頬も緩みます。美味しいものでにっこり、笑顔がいちばんですよ。
ママの
「おばんざい屋」編はこちら。
小池美枝=写真・文