OCEANS

SHARE

「お茶」を使った2種のナチュラル「SAKE」の正体

WAKAZEの醸造責任者、今井翔也さん。
──最近、WAKAZEのスタイリッシュなボトルを見かける機会が増えてきましたが、種類もかなり豊富ですよね?
今井 ありがとうございます。WAKAZEの酒造りの本拠地は山形にあるんですが、昨年7月に、レストランを併設した三軒茶屋醸造所をオープンして、三軒茶屋では新しい酒を意欲的に造っています。昨年は年間で30を超える新しいレシピの酒を仕込みました。レストランでお客さんの反応を見ながら、高速で試行錯誤しています。
──30ですか!? 新たなレシピというのは、例えば?
今井 昨年、副原料として花・柑橘・茶葉を取り入れたお酒を開発しました。これらを米と一緒に発酵させるので、法的には「日本酒」ではなく、「その他の醸造酒」扱いになります。クラフトビールなどでボタニカルを取り入れる動きはありましたが、日本酒ではうちが世界で初めてです。
──お茶も入っているなんて斬新ですね。
今井 お茶は世界中でさまざまな種類があるので、素材としての面白さも感じましたね。拠点が「三軒茶屋」なので、そこにもかかっています(笑)。それで完成したのが「FONIA tea(フォニア ティー)」と名付けたお酒で、味は「ORIENTAL(オリエンタル)」と「CHAI(チャイ)」の2種を用意しました。試しに「オリエンタル」をどうぞ。
赤いボトルの「オリエンタル」を試飲。酒自体も赤みがかっている。右の青いボトルは「チャイ」。
──わ、ワイングラスで飲むんですか?
今井 ワイングラスのほうが見た目を楽しんでいただけるだけでなく、香りも楽しんでもらえますからね。さぁ、どうぞどうぞ。
──(ゴクリ)ん!? 日本酒とは思えない複雑な香りがします! 
今井 「オリエンタル」は、南国をイメージしました。山形の米、そして台湾から取り寄せたジャスミンティーやハイビスカス、レッドローズペタル、オレンジピール、コリアンダーシードが入っていて、華やかな香りが特徴です。お茶由来のちょっとした渋みが味を引き締めてくれました。一気にWAKAZEの看板商品になりましたね。
「チャイ」は、インドの紅茶をベースに、しょうが、シナモン、カルダモン、クローブ、ピンクペッパーの5種類のスパイスを使用し、まさにマサラチャイをイメージして造りました。フルーティな酸味を出す酵母を使い、果実感とスパイスがうまく合うようにしています。
──すごい工夫ですね。
今井 麹も「白麹」というレモンのような爽やかな酸味を出すものを使っていて、白麹酛(しろこうじもと)という製法で造っています。これは国内でも珍しいナチュラルな製法のひとつですね。できるだけ自然由来のものでお酒を造ることにこだわっています。


3/4

次の記事を読み込んでいます。