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さて、智子さんは高校時代に軽音楽部に所属し、エレキギターなどを担当。そのときに顧問の先生に言われた「音楽は人となりが出るから、人間性を磨かないといけない」という言葉がずっと頭に残っていた。
「卒業間近のタイミングで、近所の美容室でピースボートのチラシを見かけたんです。元々海外には興味があったので、説明会に申し込みました」。
店からの景色
大きな窓からは電車ビュー。
説明会では周遊コースや船内イベントについて聞いた。その場で即決して、申し込んだという。
85日間のコースで費用は約100万円。これに自分のお小遣いと別途ツアー代がかかる。
「出発は7月なので、それまでにいろんなお店にピースボートのポスターを貼るボランティアスタッフをしました。3件貼るごとに1000円の船賃割引。私は1000枚ぐらい貼りました」。
さらに、居酒屋でアルバイトをして実質のローン金額を60万円まで下げた。
「24カ国くらいまわったんですが、いちばん印象的だったのはアウシュビッツの収容所です」。
待ち受け
収容者を乗せるトロッコのレールを携帯の待ち受け画像にしている。
「ガイドさんがいろいろと説明してくれて、最後に『質問はありますか?』と言われたので『どうすれば世界が平和になると思いますか?』と聞きました」。
ガイドの回答は「まず、自分の周囲から平和にすることです」。そのときはピンと来なかったが、今ではよくわかるそうだ。
旅行写真
日本酒のTシャツを着てパルテノン神殿を望む智子さん。
10月に帰国したが、今度は「日本のことも見てみよう」と思い立ち、ヒッチハイクの旅に出る。
日本旅行
北海道の小樽をスタートして、旅の費用は路上ライブで稼いだ。
「甘え心が生じないように、財布は大阪の実家に置いていきました。ヒッチハイクでは意外と怖い目に遭いませんでしたね。ご飯を奢ってくれた優しい男性に『ホテルどうですか?』って聞かれたけど、丁重にお断りしました(笑)」。
宿は駅や公園のベンチ。寝袋で野宿だ。念のため顔まで寝袋を閉じて、靴を隠すなどの用心はしたそうだ。
新潟ヒッチハイク
新潟の星峠では美しい棚田に感動。
こうして、沖縄を含む日本一周も完遂。
「そろそろ人間性も磨けたやろと思って上京。音楽塾に通い始めました」。


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