OCEANS

SHARE

リアルな『ホームレス中学生』時代の夢

田村
幼い頃から「芸人になりたい」という夢を持っていた田村さん。
「僕の姉がダウンタウンさんが大好きで、部活が終わって家に帰ると、いつも見ていたんで、その影響は大きかった。もう少し運動神経が良ければスポーツの道に進んだかもしれないけど、ただ好きなだけでバスケは全然うまくないんですよね」。
小中高とバスケ部。好きなことに熱くなる性格は、当時の空気からすると「暑苦しい奴」だっただろうと苦笑する。
「僕らの時代ってがんばらないのがかっこいい、って空気があって、ケダルイ奴がモテたんですよ。体育祭とかもみんな斜に構えてたから、僕はそのなかだったら熱くて、ダサい奴だったかもしれない。でもいま振り返ってもそれでよかったと思う。だって全力で何かを達成した思い出のほうが楽しいでしょ。あのときダルがってた奴は、きっとみんな後悔してますよ(笑)」。
胸の奥の情熱を隠さない田村さん。それでも芸人の夢だけは、周囲にはなかなか打ち明けられずにいた。高校卒業後はNSC(吉本の養成所)に入所。そこでのちの相方である川島 明さんと出会うことになる。
 

相方との運命の出会い

田村
相方の川島さんとの出会いについて尋ねると、まるで恋人の話をするかのように、「運命」と田村さんは言う。
「養成所に入ったとき、僕は貧乏で汚いじゃないですか。川島くんは引きこもりでオタクで汚いじゃないですか。ど貧乏な僕が声をかけるのを迷ったくらい(笑)。だから、気になってしまったんですよね」。
相方というのは不思議なものだ。多くの場合、相手がどんな人物かもわからないまま養成所に同時期に入ったというタイミングの妙によって、一生を共にするような仲となるのだから。
「NSCは授業が始まってすぐにネタ見せがあったり、コンビ組んだりするんです。たまたま僕が川島くんの前に組んでいた人と解散したタイミングで、川島くんが授業でネタ見せして。もう見つけたー!って感じじゃないですか。でも僕は運命を感じているのに、川島くんは何も思っていないんですよ……」。
そんな出会いを経てコンビとなった「麒麟」は、芸歴2年目にしてM−1の決勝にあがり、そこからはトントン拍子で「人気芸人」の地位を確立していった。


3/3

次の記事を読み込んでいます。