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2019.09.13

あそぶ

9月15日(日)開催のMGC、男女マラソン日本代表候補の実力を予習しよう

FUN! the TOKYO 2020 
いよいよ来年に迫った東京オリンピック・パラリンピック。何かと “遊びざかり”な37.5歳は、 この一大イベントを思い切り楽しむべき。 競技を観るのもするのも、主な拠点となる東京を遊ぶのも、 存分に。2020年の東京を……Let’s have FUN!
以前に紹介した「TOKYO2020のマラソン観戦を成功させるためのQ&A」記事。今のところチケットが当たっていない人でも、東京に行けば見られる競技として、マラソン観戦の楽しみ方はぜひプッシュしたいところ。
そんな、東京オリンピックでのマラソン観戦の雰囲気を感じられるイベントがもうすぐ開催される。日本代表選考会となる9月15日(日)開催のマラソングランドチャンピオンシップ(以下、MGC)だ。
過去の日本代表は複数のレースが選考会となっており、誰が本当に強いのか? 不透明な部分があった。しかし、MGCはハイレベルな参加基準を満たした精鋭たちが集結。日本マラソン界の“オールスターゲーム”ともいうべきレースなのだ。
[左]©︎AP/アフロ、[右]©︎西村尚己/アフロスポーツ
そして、MGCで「2位以内」に入れば、東京オリンピック代表が即内定となる。3人目の代表は今冬に実施されるMGCファイナルチャレンジ(男子は福岡国際、東京、びわ湖/女子はさいたま国際、大阪国際、名古屋ウィメンズ)で派遣設定記録(男子2時間05分49秒/女子2時間22分22秒)を上回り、最も速いタイムを出した選手が内定となる(突破者がいない場合はMGCで「3位」のランナーが選ばれる)。
とはいえ、派遣設定記録は非常に高い基準なので、今回のMGCが事実上の“一発選考会”になるという見方が強い。
新国立競技場はまだ完成していないため、近くの明治神宮外苑が発着点となるが、コースは東京オリンピックとほぼ同じ。基本的にはフラットな道が続き、35km過ぎの水道橋駅から四ツ谷にかけて約30m上る。東京オリンピックに近い「暑さ」もあり、ペースメーカーもいない。本番さながらの“ガチンコ勝負”は見どころ満載だ。

男子は31名が出場
大迫、設楽、井上の3強の争いか?

男子は31名が出場予定。2時間5分50秒の日本記録を持つ大迫 傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)、前日本記録保持者の設楽悠太(ホンダ)、昨夏のジャカルタ・アジア大会で金メダルを獲得した井上大仁(MHPS)が“3強”と呼ばれるほどの存在感を放っている。
男子・大迫 傑選手 ©︎AP/アフロ
そこに昨年12月の福岡国際で14年ぶりの日本人Vに輝いた服部勇馬(トヨタ自動車)、マラソンにアジャストさせてきたスピードランナーの佐藤悠基(日清食品グループ)が絡むことが予想される。
ほかにも2時間7分台を持つ藤本 拓(トヨタ自動車)、アグレッシブな走りが魅力の中村匠吾(富士通)がおもしろい。35km過ぎに上り坂があるため、箱根駅伝5区で「山の神」と呼ばれる大活躍をした今井正人(トヨタ自動車九州)と神野大地(セルソース)の反撃もあるかもしれない。
日本人だけの戦いとなるだけに、選手たちはそれぞれのキャラクターを熟知している。前半はスローペースで進み、終盤に“高速バトル”が勃発すると見ていい。レースを動かす可能性が高いのは、福岡国際で35~40kmの5kmを14分40秒という脅威のハイペースにまでペースアップした服部だ。そして井上と中村は素早く反応するはず。大迫と佐藤はじっくりと対応することになるだろう。一方の設楽は自在に走るタイプ。服部より先に仕掛けることも考えられる。
出場選手は全員が実力者。誰がプラチナチケットを奪ってもおかしくない。それぞれが持ち味を発揮して、文字通り手に汗を握る“最高の戦い”を見せてくれるだろう。
 

女子は12名と少数精鋭の戦い
鈴木と松田の2人が注目だが……

女子は12名が出場予定。男子の約3分の1と人数的には寂しいが、その分、テレビでは選手たちの表情がよくわかる。
女子・鈴木亜由子選手 ©︎西村尚己/アフロスポーツ
終盤勝負となった場合、最も注目すべきはスピードナンバー1といえる鈴木亜由子(日本郵政グループ)だ。マラソンの経験は昨夏の北海道だけだが、トラックでは3大会連続で世界大会(世界選手権とオリンピック)に出場している。ちなみに鈴木は名古屋大卒の才女でもある。
勝負強さでは松田瑞生(ダイハツ)がいちばんだ。昨年1月の大阪国際を初マラソンでの日本歴代3位の2時間22分44秒で優勝。同年9月のベルリンでは日本歴代9位の2時間22分23秒を叩き出した。日本選手権1万mを連覇(17~18年)したスパート力もある。鈴木と松田の2人は周囲から徹底マークされるだろう。
23歳ながらマラソン5度のキャリアを誇る前田穂南(天満屋)は自己ベストが2時間23分48秒で、夏マラソン(2017年の北海道)も経験。若さと勢いがあるだけでなく、どんなレースにも対応できる。大阪薫英高時代の1学年先輩に当たる松田には昨年の大阪国際とベルリンで競り負けた。今回こそ松田に勝ち切りたい。
そして不気味なのがワコール勢だ。最年長37歳でキャリア抜群の福士加代子、2時間21分36秒の現役日本人最速タイムを持つ安藤友香、最年少22歳で攻めの走りができる一山麻緒が参戦する。12分の3を占める最大派閥ゆえに、チーム力で抜け出す作戦も考えられる。
ほかにも2時間22~23分台のタイムを持つ前田彩里(ダイハツ)、関根花観(日本郵政グループ)、小原 怜(天満屋)、岩出玲亜(アンダーアーマー)。昨夏のアジア大会で銀メダルを獲得した野上恵子(十八銀行)、リオ五輪5000mで決勝に進出したスピードを持つ上原美幸(第一生命グループ)がどんなレースを展開するのか。
スタートは男子が8時50分で、女子が9時10分。レースの模様は男子がTBS、女子はNHK総合で生中継される。過去の気象条件は朝10時の平均気温が25.4度、湿度が67.3%。汗をかきながら沿道で迫力あるレースを体感するか(沿道での観戦術はこちらから)。それともエアコンの効いた部屋でじっくりテレビ観戦するか。実に悩ましい。
 
酒井政人=文 田澤健一郎=編集


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