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2019.09.26

ライフ

ヒッピー文化とダンス音楽とジャズ……すべてに通じる古楽の魅力

「古楽」の演奏家であり、フルーティストでもあるミュージシャンの柴田俊幸さんにお話を伺う機会を得た。実は柴田氏と筆者は、ニューヨークで知り合い、友人になったのだ。彼はニューヨークでの勉学と音楽活動の時期を経て、ベルギーに活動の場を開いた。香川県出身で「たかまつ国際古楽祭」の監督として、日本に「古楽」を広めている旗手だ。
「古楽」の演奏家であり、フルーティストでもあるミュージシャンの柴田俊幸さんにお話を伺う機会を得た。
大阪大学での勉学を捨て、単身ニューヨークで音楽家への道を切り開き、ベルギーで「古楽」と出会った。彼に「古楽」とは何か、その楽しみ方を聞く。敷居の高かったクラシック音楽が、実は神社の祭礼でも聞く雅楽や、また盆踊りのような農民音楽とも接点があると知った、素晴らしい機会だった。
 

「古楽が新しい」という逆説的な面白み

ベルギーというと何を思い浮かべるだろう。ワッフルかフランダースの犬か。小さな国の中、フランス語、ドイツ語、オランダ語など多言語が使われ、つまりその言語に付随する文化も入り乱れるわけで、ベルギー人は、あのアガサ・クリスティの探偵ポアロのように、「事と人を読む」達人だったりするのだろうか。
ヨーロッパのさまざまな地域からやってくる文化の交差する場として、クリエイティブな地域とも思える。オランダにほど近い都市、アントワープのファッションが一斉を風靡したことがある。ドリス・ヴァン・ノッテンを含むアーティスティックな作風のデザイナーたちだ。
また遡ればルーベンス、マグリッドといった個性派画家がいる。フランスやドイツ、オランダとは明らかに一線を画した個性とクリエイティビティを感じるのは私だけだろうか。
古楽においても、やはり新しいムーブメントが、ベルギーを中心に動いていたらしい。
「古楽=アーリー・ミュージック」だ。
音楽においても、やはり新しいムーブメントが、ベルギーを中心に動いているらしい。「古楽=アーリー・ミュージック」だ。
「古楽」が新しいというのも、なんだかおかしなものだが、「古楽」とは何かというと、「古典音楽の頃、つまりベートーベンの時代(18世紀後半)よりも前の音楽で、バッハに代表されるバロック音楽やそれ以前中世ルネサンス時代の音楽を、当時使われていた楽器とその時代の演奏法を目指すもの」だという。
バッハやヘンデルがいた17世紀から18世紀初頭、それ以前のルネサンスの頃の音楽、そして中世ヨーロッパの音楽が含まれる。このムーブメントが始まって、まだ50年くらいだと言うから、やはり「古楽」は、古いが新しいカテゴリーなのだ。


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