連載「Camp Gear Note」
90年代以上のブームといわれているアウトドア。次々に新しいギアも生まれ、ファンには堪らない状況になっている。でも、そんなギアに関してどれほど知っているだろうか? 人気ブランドの個性と歴史、看板モデルの扱い方まで、徹底的に掘り下げる。
キャストアイアン(鋳鉄)製クッカーのシェア全米トップであり、日本でも多数のアウトドアマンから絶賛されている「LODGE(ロッジ)」。ダッチオーヴンを筆頭とする傑作を長年作り続けている情熱やこだわりについて、本国でロッジ社のコピーライターを務めるErinさんに聞いた。
——「ロッジ」はいつ、どのような形でスタートを切ったのですか?創業者のジョセフ・ロッジは、1896年にテネシー州サウスピッツバーグで廃墟となった鉄道鋳造所を見つけ、調理器具を含む鋳鉄製品の生産を開始します。1910年、その最初の工場は火事に見舞われて消失してしまいますが、ジョセフはあきらめず数カ月後に旧工場の近所で復帰。今も同じ場所で「ロッジ」のアイテムは製造されています。
——ブランドとして最も大切にしていることやポリシーを教えてください。「ロッジ」は創業当初より高品質の調理器具を製造してきました。それは今も変わりません。単にダッチオーヴンやスキレットなどを製造するだけではなく、何世代にも渡って引き継がれる記憶を作っているのだと考えています。
——とくに看板商品の「キャンプダッチオーヴン」は高く評価されています。どのようなこだわりを?「キャンプダッチオーヴン」の一つひとつに、私たちの経験と知識、職人の技が継承されています。そして、ハイレベルな鋳造術と質の良い鉄しか使いません。不安定な熱い炭の上でもグラグラしない、繋ぎ目の無い3本足もポイントですね。焚き火の上に引っ掛けられるヘビーゲージなワイヤーベールハンドル、炭を載せられて裏返せば単品で調理器具になるフタといった、ギミックだって計算し尽くした結果です。
アメリカでは「インドア用キャストアイアンダッチオーブン」がなくてはならない調理器具として知られ、「エナメル製キャストアイアン」も保温性が高く、冷蔵保存まで可能だと人気です。日本でも役に立つと思いますよ。
——「キャンプダッチオーヴン」を使用する際、気をつけることは何でしょう?販売時にシーズニング(慣らしの工程)がされていますから、買ったその日から使用OKです。アウトドアではまず炭や木を敷きます。その際、風の影響をあまり受けない場所にしてください。そして、オーヴンの内側全体と蓋の裏側に軽く調理油を塗ります。食材を入れるのは全体が温まってからにしましょう。焦げ付きにくくなり、クリーニングしやすくなります。
——我々がするべきメンテナンスを教えてください。とても簡単ですよ。使用後、温度が下がってから固めのブラシと水で汚れを落とします。こびりついたカスや落ちにくい汚れは、ほんのわずかな量の洗剤で対応を。スクレーパー(ヘラ状の器具)を使うのもオススメです。
クリーニングが済んだら、再び火にかけてハンドルやフタまで乾かし、全体にサラダ油を塗布。保管はフタと鍋の間にキッチンペーパーを挟み、通気性を確保してから、涼しく乾燥した場所で行なってください。
じっくりと熱が伝わり、食材の旨味を凝縮させる「ロッジ」のダッチオーヴン。煮る・焼く・蒸す、すべての調理が可能で扱いも簡単とくれば、世界中で愛されるのも頷ける。長い歴史がありながら近代的アクションも取り入れ、環境や人体への悪影響を抑制している点だって見逃せない。キャンプを楽しみたいのなら、テントやウエアと同等の必需品ととらえ、早めに準備するのが正解だ。
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