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Have a nice ONSEN trip
それにしても、12年である。スーパースポーツカーは大抵、モデルチェンジのスパンが長めとなるものではあるが、GT-Rが例外的に長寿であることは間違いない。何しろ当時、仮想敵としたポルシェ911はすでに次の次の世代へと移り変わっているぐらいなのだから。
ただし、その間に開発責任者は代わり、GT-Rというクルマのあり方も変化している。現在の田村宏志氏は実は2001年の東京モーターショーで発表された今のGT-Rの姿を暗示した存在であるGT-Rコンセプトを企画した人物だ。
2014年モデルより開発責任者の任につくと、GT-Rの「GT」すなわちグランツーリスモとしての面をベースモデルが、そして「R」すなわちレーシングの面をこのNISMOが担うという今の布陣が敷かれた。
それまでは1台のモデルでGT領域もR領域もカバーしていたが、それを突き詰めるとGTカーとしてはスパルタンに過ぎ、速さを狙うには中途半端ということになりかねなかった。こうなったのは必然だったと言っていい。
その後、2017年モデルではベースモデルが大幅改良。GTとしての質を引き上げ、また同時に動力性能も引き上げて、決して軟弱になったわけではないということも示した。そして今回の2020年モデルでは、NISMOにより多くの力が割かれた形だ。
「進化はずっとさせようと思っています。2020年モデルで、という考えは薄っすらとはありましたが、何をやるとは決めていなくて、ブレーキは足かけ5~6年、新しいタービンは3年くらいと、いろいろなソリューションを温めておきながらお客様のリアクションを見て最終的に方向性を決心する形でした。
(ベースモデルとNISMO)の両方いっぺんにはできないですね。でも相互関係はしっかりあって、例えば今回カーボンセラミックブレーキでバネ下が軽くなって、結果として乗り心地もよくなった。それは今後、基準車にも応用させられるでしょう。基準車を進化させればNISMOもよくなるし、その逆もないと意味がないので」。(田村氏)
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